『近代政治哲学』読了
『近代政治哲学』読了しました。
- 作者: 國分功一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/04/08
- メディア: 新書
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最近参加している↓の勉強会でオススメされた。
thunder0512.hatenablog.com
いやはや,面白かった。
勉強会でも出てきたホッブズ・ルソーの話がさらに詳しめに出てきている上,
その他の思想家に関しても詳しく書かれている。
あと,著者がイケメン。笑
第一章では封建国家の話になり,日本と違ってヨーロッパの場合、封臣は複数の封主,さらには海外の封主なんかとも契約可能だった,ということが書いてある。
そうなると国土というものは存在しないよね,というのも納得で,つまり国内社会と国際社会という区分けが存在しない。
さらに考えを進めると,つまりそれは国を統治するためのルールづくり=立法権という概念がないということ。各封主は個別の契約にしか縛られない。なるほどねー。国家において主権は対外的には戦争する権利として,対内的には立法権として現れる。ふむふむ。
それでこの本の面白いところは,各章が政治哲学上の概念の展開を追体験できる構成になっていること。
第一章で主権概念の成立をみた後,第二章でホッブズの社会契約論を出しながら,「自然状態」「自然権」という考え方の発生をみる。さらにスピノザによる批判と展開,ロックによる社会的啓蒙,ルソーによる精緻化とヒュームによる批判,そしてカントで締める。
特に「自然状態」が何を指すかに関する齟齬の指摘なんかは面白かった(p.147)。
ルソー | 自然状態−フィクションとしての平和な地上・善良な自然人 | 社会状態−堕落した文明・利己的な人間 | 国家状態−社会契約による国家成立・所有制度の確立 |
ホッブズ | 【考察なし】 | 自然状態−潜在性としての戦争状態 | 社会状態−絶対服従 |
スピノザ | 【考察なし】 | 自然状態−潜在性としての社会の常態 | 社会状態−利益考慮による法の遵守 |
ロック | 【考察なし】 | 【考察なし】 | 自然状態−現状肯定のイデオロギーとしての所有制度と家族制度が存在 |
つまりロックが自然状態と名状しているものが,ホッブズスピノザにおいては社会と呼ばれるし,それはルソーに言わせれば国家である,ということ。なるほどねー。
こんな感じで,政治哲学がどう構想されてしてきたかをザザッとみられて,とても楽しい読書だった。次はこれを年末年始に読もうね。
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2011/02/26
- メディア: 単行本
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