さんだーさんだ!(ブログ版)

旧「◯◯な英語教員に、おれはなる!!!!」 - 大学院を終え、2015年度より中高英語教員になりました。

ぺこぱとU理論

ぺこぱが自分の中でブーム。NHKの「笑けずり」の頃から知っていて,この間のM-1決勝,最終決戦進出を見て,そのスタイルの変化とともにこれまでの努力に思いを馳せたりしていた。
その特徴的なツッコミが話題になったけど,友人と話をしていたら「ぺこぱはU理論だよね」という話になっていた。ふむ。そう言われたらそうかなとかうなずいていたけど,ちゃんと分かってなかったから,自分なりに調べてみた*1

U理論とは

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画像はU理論とは | U理論の普及と実践の機会を - 【PICJ】プレゼンシングインスティチュートコミュニティージャパンより転載。


詳しくは参考URL参照(u理論入門編!u理論の基本「7つプロセス」と初心者向け書籍のご紹介 | ノマドジャーナル)だけど,このページによるとU理論とは「リーダーシップの能力開発や、イノベーションを起こすための思考プロセスを明らかにした理論」とのこと。そこには以下の7つのステップがある。

1. ダウンローディング

  • 過去の経験によって培われた枠組み(≒思い込み)の内側で自分の思考・意見が再現されている状態。

2. 観る(Seeing)

  • 過去の枠組みによる判断・雑念を保留して,新たな視点に立って目の前の事象を観る。

3. 感じ取る

  • 過去の枠組みを崩し,枠組みを超えた側から自分の状況を見えている状態。過去の解釈に依らないため混乱が起きるかもしれないが,盲点であった事象に気づくこともある。

4. プレゼンシング

  • 「源(=自分の内側から現れる世界)」につながる。「私」とは何者か,私の「成すこと」は何か,といった問いを考える。

5. 結晶化

  • これまでの固定観念を取り除き,掘り下げた考えを具体化する。

6. プロトタイピング

  • 試行錯誤を行い,アイデアやインスピレーションに形を与える。

7. パフォーミング

  • 上記のステップを経て得られた新しいアイデアを実践(習慣化・組織伝播)する。

正直,4. プレゼンシングはよく分からない。多分ここが一番大事なんだろうけど。
U理論とは | U理論の普及と実践の機会を - 【PICJ】プレゼンシングインスティチュートコミュニティージャパン
↑のページによると,「『ダウンローディング』『観る(Seeing)』『感じ取る(Sensing)』までが個人の内側の体験にとどまるのに対して、プレゼンシングは個人という枠を超えて、まるで共振するかのように他の人に響くものがあ」るとのこと。ふむ。


ぺこぱの漫才

シュウペイ(以下シ);どーもーぺこぱのシュウペイでーす。お願いしまーす。(と松蔭寺の前に立ってポーズ)
松陰寺太勇(以下松);いやかぶってる!なら俺がよければいい。(とシュウペイの横に移動)

という感じで,シュウペイのボケに松蔭寺が一度突っ込んでから,新しい解釈を提示するという構成。

シ;ブーン(とタクシーを運転)
松;へいタクシー!(と手を挙げる)
シ;ブーン…ドーン!(と車で松蔭寺に突っ込む)
松;いやいってぇな!どこ見て運転してんだよ!って言えてる時点で無事でよかった。そうだろ。無事であることが何より大切なんだ。

書いていて思ったのは,ボケというものは基本的に,1. ダウンローディングと2. 観るのステップかもな。当然タクシーは自分にぶつかってこないという「過去の枠組みからの判断」が,タクシーが自分にぶつかるという事象を「観る」ことで逆に可視化される。
「いやいってぇな!」までだと一般的なツッコミで,「3. 感じ取る」まではいっていない。「車にぶつかられたら痛い」という,これまた過去の経験からの当然の判断が提示されるだけである。だがここで松蔭寺は「(運転手に文句が)言えてる時点で無事でよかった」と新しい見方を提示する。これは,3. 感じ取るのステップと言えるんじゃないか。

シ;ブーン(とタクシーを運転)
松;へいタクシー!
シ;ブーン…ドーン!(と車で松蔭寺に突っ込む)
松;いや2回もぶつかるっていうことは俺が車道側に立っていたのかもしれない。もう誰かのせいにするのはやめにしよう。

1: タクシーは2回もぶつかってこない
2: 車が2回連続でぶつかってくる
3: 悪いことがくり返されるということは,自分の側にそれをくり返させる要因があるのかもしれない。

シ;スーン(と車が止まる)
松;いやブーンじゃなくてスーンの車が,もう街中にあふれてる。

1: 車はブーンと走る
2: この車はスーンと走る
3: そうやって走る車(電気自動車)はすでに街中に存在する。
※けっこう社会派的なやり取りが多いのもぺこぱの特徴なのかも。U理論的とはあまり言えない。

松;運転手さん,新宿駅までお願いします。
シ;かしこまりました。ちなみになんですけど,新宿駅って,なんですか。
松;いや知らねぇんだったら教えてあげよう。そうだろ。知識は,水だ。独占してはいけない。

1: タクシー運転手は新宿駅を知っているものだ。
2: このタクシー運転手は新宿駅を知らない。
3: 知識を共有する機会になる。

ぺこぱの漫才とU理論

さらに,分かりづらい「4. プレゼンシング」はすでに松蔭寺の中で経験されていると考えると,ぺこぱの漫才自体が,彼(ら)のアイデアを「結晶化」したものと言える。自身の哲学を実践し,日本社会へと伝播させようとする試みなのではないか。じっさい,松蔭寺は「そうだろ。」と観客に同意を求めたり,「もう誰かのせいにするのはやめにしよう。」「知識は,水だ。独占してはいけない。」と自身の教訓を端的にまとめ直したりしている。この教訓めいた感じが,「漫才とはこういうもの」という「過去の経験からの判断」と矛盾するのでおかしさを生んでいる,というのも上手い構造だなあ。

そして興味深いことに,そうした松蔭寺の呼びかけに呼応する流れも出てきている。
見知らぬ人に嫌なことをいわれた母親 斬新な『切り替え方』に「マネしたい!」の声
「ぺこぱ流育児のススメ」など,他の人がぺこぱの考え方に触れ,それを自分の暮らしの中に取り入れようとしている。これは,彼らの漫才が,7. パフォーミングの段階にすでに入っていることの現れではないか。

大学時代に,社会学者の理論を使って社会事象を論じるというレポートがあったけど,これくらい気を抜いて適当にできたら,ちょっと楽しいかもしれない。笑

*1:半分以上冗談記事ですw