さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

NVCで、自分のためだけに話した話

 NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)の研修が職場であった。正確には、悉皆研修で頭出しがあった後に、興味ある人は有志で、ということで月1くらいやっていくことにしたもの。
 ちなみにNVCとは、「1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱された、自分の内と外に平和をつくるプロセス」とのこと(http://nvc-japan.net/nvc/)。「観察(Observation)、感情(Feeling)、ニーズ(Need)、リクエスト(Request) の4要素に注目しながら、自身の内なる対話や、相手の言葉の奥の意図の推測、相手との対話を行」うという手法を取る。
 今日は、「今の気持ち、今回参加した動機」をシェアするチェックインの後、4−5人のグループになって、最近の気持ちの浮き沈みの頂点/底の話をした。車座に座って、円の中にはNVCのニーズリスト(http://nvc-japan.net/material/feelings_needs_list/)のカードを置いておく。聞いていた人たちは、話し手の話を聞いて、話し手はこれを大切にしているんだろうな、というニーズカードをその人の前に置く。話し手はそのカードを見ながら、完了したな、という感覚があったら終了する、というもの。
 自分のニーズに正直に、という指南役の言葉通り行こう、と思って、とっても個人的な話をした。誰かのためでなく、100%自分のために話をすることって、大人になってからほっとんどない経験だなと思った。誰からも求められていなくて、誰のためにもならなくて、でも自分にとっては誰かに話したい気もどこかしていた、切実な話。
 そうやって「自分のためだけに」話してみて、気づいたこと:

  • 自分のために話すのが、極端に下手だな、ということ
    • 人に理解されるために情報を整理して伝える、というのはそれなりに得意な方だと思うけれど、それをしなくていい、自分の話したいことを話したいやり方でいい、となると、途端に何をどう話すといいのか、話したいのか、よくわからなくなった。
  • 自分のために話すということを、ほとんどしたことがないということ
    • 学校ではスタッフ同士、なんらかの情報伝達のために話すことが多いし、子どもの話を聴くことは多いけれど、授業で話す時もやっぱり相手のために話す意識はある。これは家庭でも然りで、子のことを、妻のことを考えながら話すことがとても多い。あまりにも自然にできていることで、別にそこにストレスはないのだけど、改めて自分のために話したことで、「あ、こういうことほとんどしたことないわ」と気づいた。どこか申し訳なさも感じたくらいだった。
  • 自分もしっかり(?)、傷ついていたんだなということ
    • 癒やしを自分にも与えるということは、とても大切。聞いてもらうことは、そこにつながるなー、とも。知らず知らず感情に蓋をしていたのかもしれない。というより、話すというただそのことで、「より開く」みたいなことはありそう。
  • 話し終えてから、聞き手がニーズカードを自分の前に無言で運んでくれるそのプロセス自体が、「しっかり自分の話を聞いてもらえたな」と感じられる瞬間だった
    • これは新鮮な驚き。話している最中も泣きそうだったけれど、カードを選んで/運んでもらっている時のほうがぐっと来た。
    • ちなみに選ばれたニーズカードは、こんな感じ↓
  • 何より、こういう話をしようと思える同僚がいるのはありがたいな、ということ

 どうなるか分からなかったけど、参加してみてよかった。コーチングもしている同僚が、NVCでやっていることとコーチングでやっていることの類似を感じたというようなことを言っていたけれど、それは同感で、手法のタイトルはなんであれ、その人が話したい切実な話を、しっかり聴くことのむつかしさと大切さと尊さよ、という感じ。これから数回の参加を通じて、感情をしっかり観察して、自分のニーズ、他者のニーズを感じて、よりよいしかたでリクエストできるようになっていこうね。
 最後に自分は「まずは家庭からかな!」と言った。講師は「家庭でやるのが一番むずかしい」と笑っていたけれど、自分のそれこそ「ニーズ」は、一義的に家庭にあるなと感じている。家庭ですらできない聴き方・話し方が、外でできるわけがないというか、他のどこでできても、家でできなきゃ楽しくないというか。
 …飲み過ぎを疑われそうだけど、ちょっと濃い目のハイボールの一杯目である。二杯目を飲みながら校正。良い人生は良い週末から。おやすみなさい!