「日本企業の英語化は何をもたらすか?―進み行く最先端の風景」
昨日、Vital Japanという社会人英語・ビジネス交流サークルの講演会に行ってきました。
講師は、Kyle Yee氏(Englishnization Team One, Manager, Global Human Resources Department, Rakuten, Inc.)という、楽天の英語化推進責任者の方でした。
正直講演の内容は、もっと楽天の英語化の内実を語ってくれればよかったのになあと思いましたが、英語でのテーブルディスカッションが多くて楽しかったです。
内容自体は「よく聞く話」(教育システムの大々的な変革が求められている、など)でしたが、なんというか、彼らの「本気度」みたいなものが伝わってきて面白かった。
"The world doesn't wait for you anymore."
という言葉が印象的で、「変革か死か」というのが彼らを突き動かしている根本的な世界観なんだなあと。
その意味で、ある種保守的で、なんなら牧歌的な(のほほんとしてる、くらいの意味で使ってる)教育の世界(とか十把一絡げにするのもアレだけど)とは相容れない部分があるのかなあと。
講演中に紹介されていたthe Global Competitive Reportというランキングの中で日本が下がってる、そのランキングの指標の1つに"primary educational system"の質も含まれており、日本はかなり低いってのも興味深かったので、読んでみたいと思います。
数年で辞める若者に何百万もかけて教育するのって…。→"Schools must educate, train and prepare. Companies don't have time."という言葉は「おお…」って感じだった。
でもそれに反対するだけの確固たるものって教育にあるのかなあ。競争を避けて、平等を重んじて、というのも大事だけど、学校が終わってからの社会(競争社会だ!)に適応できる力も必要なことを考えたら、Critical Skills Needs and Resources for the Changing Workforceに紹介されているような話も大事になってくるんだろう(と急に長々しいpdfファイルを紹介してみる。これも昨日の講演中に紹介されてました)。
あと彼らは「平等」はびた一考えていないというか、トップを伸ばすことに注力しているのは間違いない(トップを変えれば全体が変わる、的なことを言っていたし)から、そこから来る歪み、みたいな問題にどう対処しうるのかっていうのはまた別のところが考えなくちゃいけないのかもなあ。
ここまでだと「企業が教育に押し付けてばかりだ!」的な反応になったかもしれないけど、講演者の方は、英語力・社会人基礎力的なものを複合的に測るテストを作成中だそうです。
まだここまでだとわりと眉唾というか、アヤシゲなテストになるんじゃないの?って感じではありますが、ピアソン・エデュケーションと連携してやるそうです。頑張って欲しい。それ以外の英語教育・学習の面でも、以下のように様々なところと連携を取りながらやっているようです。
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英語教育を語る際、これくらい様々なところと連携を取りながら、現状を改善しようと猛烈に動いている人たちは、いわゆる「教育畑」の中にいるのだろうか(いやいっぱいいるわ!と言われたらそれは不勉強を恥じるしかないのだけど)。
自分もせっかく色々なコネを活かせる場所にいるのだから、もっともっと活動していかなくちゃなあと思うと同時に、
や、全然勉強足りてないよなあ、とも同時に思う。インプットとアウトプットのバランス。
また、テーブルディスカッションも面白かった。
「英語ができる人は、英語の勉強にリソース振っちゃってるから社会人スキルに欠けてる人が多い。どちらもできる人を育てるのは無理なんじゃないか」みたいに言う人がいて、うーん。
別に社会人スキルって学生のうちに身につけるものでもないんでしょ?的なことを思いつつ、同時にたとえそれが学校で養成されるとしても別に英語の勉強がその妨げになるとは思えない。
それって割と、「英語できなくても自分仕事できるから!若い英語「だけ」の奴らはケシカラン!」って議論に容易にはまり込んでいく気がするし、なんなら異文化に対する不寛容を「スキル不足だ」って上から目線で叩くのにもつながる気もする。
その点で、「仕事のスキル」の中に「英語」を並列的に持ち込もうとしている楽天等の活動はわりと画期的なんだろうなあとも思った。
他にも、母親日本人父親アメリカ人の家庭が日本で暮らす場合、英語は後からでいいからと、子どもが小さいうちは日本語しか使わずに教育する、と聞くと「えーもったいなーい!」的な反応する人が多かった。やっぱ日本人にとって英語は特別なんだなあと思うと同時に、小さい時からやっておけば複数言語がノーリスクノーコストで手に入る、的な意識が、例えば「帰国子女は労せず英語できていいな」みたいな素朴な帰国子女観につながったりして、学校現場では色々な問題を引き起こしているのでは、とも思う。