さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

"What Should Every EFL Teacher Know?" (Paul Nation) Chap.15: How Do You Deal with Teaching Problems?

プラクティカルなタイトルですね!教室で起こる様々な問題にどう対応するか。生徒間の英語力も大きく違っていたり、英語話して欲しい時に日本語話してしまう生徒がいたり、宿題やってこなかったりなどなど、様々な問題に対する解決法を提示している章です。



まずその「問題」が「利点」として取れる場面がないか考える。クラスの人数が多いからこそできる活動もあるだろうとか、日本語で話せば確かにコミュニケーションは円滑に進むだろう、とか。なるほどねー。


◯Dealing with Large Classes
何人が"large"かには国によって相違があるが、グループワークは大人数の教室で特に役立つ。自分のレベルに合ったグループで活動ができるからだ。


(1)Individual work
個人学習の時間は、各自が自分のレベルに合った学習ができるという点でクラスの人数が多い場合に適している。半分以上の時間を使っても良い。


(2)Group work
以下の4種類のメジャーなグループ活動がある。活動の趣旨と、グループの分け方・人数が合っている必要がある。
a.Co-operationg group work
大体同じくらいの英語力の4~5人の生徒で構成されたグループ。ペアになるか、全員が半円状になって、等しく教材が見られるようにしておく。ペアで読んだり、話したり、グループで作文をしたり、などの活動がある。

b.Split information group work
生徒はそれぞれ異なる情報を持っている。グループのメンバーはそれぞれの顔が見えるように向かい合う。

c.Superior-inferior group work
英語力に差がある人たちでグループを組ませる。英語力の高い人が先生役になって、他の人が知るべき情報を読み上げてディクテーションするなど。

d.Individual group work
個々人にperformする場が与えられているような活動。

(3)Whole class activities
教員が先導するような活動。speed reading, 10 minute writing, oral work with substitution tables, intensive reading, dictationなどが挙げられている。


◯Dealing with Classes with a Wide Range of Proficiency Levels
生徒のレベルが異なるクラスの場合、個人でできる活動・ペアでできる活動・クラス全体でできる活動を分けて考えるとよい。

個人学習向き ペア・グループ活動向き クラス全体活動向き
Extensive reading, Read and listen, Writing with feedback, 10 minute writing, Speed writing, Prepared talks, Substitution tables, Information transfer, Issue logs, Word cards, Unexploded dictation, Oral book reports, Delayed copying 4/3/2, Problem-solving speaking, Pair conversation, Paired reading, Linked skills, Running dictation, Speaking by numbers, Strip story, Split information, Kim's game, Surveys, Dictogloss, Say it!, Headlines, Marketplace, Group brainstorming Oral reproduction, Blackboard reproduction, Blackboard composition, Listening to stories, Same or different(pronunciation), Identifying(pronunciation), Intensive reading, What does what?, What is it?, Follow the map

適切なマテリアルを用意するのが肝要。


◯Dealing with L1 Use in the L2 Classroom
確かに母語を使えば簡単になるけど、それじゃあ外国語学習に支障をきたすということで、以下の3点が提案されています。
(1)Setting rules
英語を使うべき時は英語を使う、というルールを徹底するために、英語を使ってできたら褒め、母語を使ってしまったら罰することも必要ならやること。


(2)Explaining the reasons
なぜ母語を使わずにやることが大切かを説明する。活動の目的を理解させる。time-on-taskの原則について話して、教室の外では起こらない活動であることも理解させる。


(3)Involving the learners
外国語で話す際に問題となる点を説明し、生徒にそれらを克服するにはどうすればいいか考えさせる。


以上、生徒の態度面での問題を取り上げたが、実際に母語使用が発生する場合には、活動が難しすぎる・周囲の環境的に英語を使いづらい・全員同じ母語使えるのに英語で話すのを不自然と感じている、などの理由が考えられる。そうした場合の対処法としては、事前に活動をこなすのに必要な言語項目を教える・英語を使わないとできない活動を用意する・英語名をつけるなどして、ロールプレイに徹させる、などがある。ただし、もちろん難しい単語の意味を説明するときなど、母語を使ったほうがいい時もある。


◯Providing Feedback and Encouraging Learning from Feedback
効果的・効率的なフィードバックを与える際には、以下のような注意点がある。

  1. 生徒がフィードバックから学ぶことができるように教示する
  2. クラスメート同士で採点させる
  3. 同種の間違いを犯しているものをグループにして提示し、その中に共通に含まれている間違いを発見させる
  4. 間違いの箇所だけを示して、訂正はしない(自分でさせる)
  5. よくある間違いについてクラス全体に指導する
  6. コンピュータを用いてフィードバックを行う
  7. 特定の間違いを知らせる特定の記号を生徒と共有する
  8. フィードバックとともに、有用なリファレンス(文法書など)も提示する
  9. セルフモニタリングを推奨する


◯Dealing with Learners Who Do Not Do Their Homework
(1)Knowledge-based approaches

  1. 何をどうすればいいか明確にして、難易度も適切なものにする
  2. 宿題の半分を授業内でやらせ、残り半分へのフィードバックを与える
  3. 難しいけどなんとかできる、というレベルのチャレンジングなものにする


(2)Attitude-based approaches

  1. 宿題の重要性を伝える
  2. どういった宿題を出すかを生徒と話し合う
  3. 宿題を面白いものにする
  4. 宿題の「契約書」を作る

(3)Situation-based approaches

  1. 「宿題クラブ」を作る。教師や保護者も交え、最適な宿題についての話し合いを行う
  2. ペアで行う宿題を用意する
  3. 生徒に、お互いに宿題についてリマインダするようにする
  4. 宿題で行なったこともテストに含める
  5. 宿題の成果物を、教師が簡単にチェックできるものとして、生徒の達成感につなげる
  6. 宿題の記録をつける
  7. 宿題チェックリストをつけさせる


◯Dealing with Learners with Low Motivation
最初はやる気があったけど、授業が難しすぎて萎えてきたとか、言葉を学ぶ難しさを知って萎えてきたとかよくある話。
短期間で言語が習得できるはずはないけれど、でも短期間で達成できる目標を設定するのは非常に大切。以下、やる気のない生徒への対処法を列挙。

Guidelines Applications
Make the classes interesting 生徒の興味分野を知る・1回の授業に3つのfocusを取り入れ、バリエーションを設ける・授業をしっかり準備する・目新しい活動を取り入れる
Make the classes relevant なぜその活動が大事かを説明する・その活動を短くふり返る時間を設ける・将来の評価にどうつながるか示す・「忙しいだけの活動」をしないようにする・タスクの中で、自分について書かせたり話させたりする
Ensure the learners are successful 全員が達成できるよう、難易度を個人に合わせて調整・グラフなどで成長具合/達成具合を見せる・手順を定型化・伸びた生徒にご褒美
Involve the learners 全員に役割のある活動を行わせる・シラバスやシラバスの一部を生徒に決めさせる・次第に教師主導から生徒主導に移していく・生徒の声を聞き、彼らの声が反映されていることを見せ、言葉に責任をもたせる
Allow shy learners to contribute in their own way グループで評価させる・クラス全体の前での活動を、全員には強要しない
Do not allow dropping out 寝ている人を許さない・やってほしい活動を確実に実行させる・参加具合を記録する・参加度合いの低い生徒に個別に話を聞く・評価と活動を結びつける・クラス運営を上手にする(次章参照)・頑張らない生徒には低い評価をつけることを知らせる・何をどうやるかを生徒がしっかり知っている状態にする

その後に続く補足は省略。大体上の表見れば分かることかなと。
色々な原因が絡んで起こっている問題がほとんどなので、色々な解決法を試しましょう、とのことでした。
感想としては、授業の組み立て方においてはこういった知識を入れておくことは非常に役立つと思う反面、生徒との関わり的な面ではどこまでこうした知識が役立つのか、正直よくわからないなあと思いました。早く現場に出ろ的なことを言われる時は、やっぱりこういうのを念頭に置いているんだろうな、と。

"What Should Every EFL Teacher Know?" (Paul Nation) Chap.14 How Do You Plan a Language Course?(後編)

こんにちは。名刺を作った!と思ったら専攻名を間違えてしまいました。笑
というわけで後編です。前半では、コースをデザインしていく際の抽象的な話が主でしたが、後半は具体的なシラバスの組み方です。



◯Syllabus Design
いつ何をどうやってどうテストするのか。それらをはっきりさせるために、前半でみたような、環境だとか生徒のニーズだとかを知る必要がある、とのこと。
また、カリキュラムと実際に行われる活動に齟齬がないよう、要らない活動は削るべし、とも。以下、シラバスデザインの3つの柱をみていきます。


(1)Content and sequencing
 コース内の活動の配分をどうするか。本書ではfour strandsを大体同量含むようにすることを推奨している。その他、どういった言語項目(原語は"language feature"であり、ここには単語も含まれる。文法と言ってしまうと狭すぎるだろう)を扱うのか。以下本文中では、初級レベル・中級レベルで扱われるべき文法事項がリストで示されている。また、話し言葉におけるコロケーションの研究も進んでおり、最も使われる一群のコロケーションを教えるのもよい、とのこと。リストもついている。you knowが一位、I thinkが二位ってのがなんとも日本ではあり得なそうで面白い。でもyou knowって教える必要あるのかな。初級の頃からこれ連発する人になってしまっても、とは思う。
 また、こうした言語項目を扱いつつ、どう授業を展開していくかも大事。なんだか大事そうな文章があったので引用。

The idea that each lesson should cover a new grammar feature no longer makes much sense when we realise that teaching only makes a small contribution to total learning, and that items need to be met many times in many different contexts in order for adequate learning to occur.(p.183)

この単語・文法を生徒にマスターさせる、というものを事前にきちんと決めておくことが大切。最低10回はその文法項目に出会わせないと、とのこと。
 今までに紹介してきた文中の単語の難易度等を判断するソフトなども総動員して、習得させたい単語にもたくさん出会わせる。さらに、難しすぎて本来学ばせたいことの学習を阻害するような文法項目や単語には極力出会わずに済むように調整も必要。
 こうしたvocabulary controlに反対し、authenticな文章に触れる方が良いとする教師・学者もいるが、この考えには2つ問題点がある。まず、meaning-focused inputをさせる際に語彙統制を行わないとすれば、6,000語程度の知識がないと無理。2つ目の問題は、authenticな文章には、同じ単語がなかなか出てこない。大体半分の単語は1度きりしか出てこない。これでは、生徒がその単語を習得するのに十分とは言えない。てことはauthenticな教材を推す人は、meaning-focused inputをするなと言っているに等しいが、それはおかしいでしょう、との主張でした。
 さらに耳寄りな話。同義語や対義語、同系統の言葉(果物の名前、とか)を一度に教えるのは混乱を招く。shortとlongを一緒に教えたら、長さ系の言葉ということは理解できても、どっちがどっちの意味だか迷う生徒が出るだろうとのことで、"Such words should be taught at different times, waiting until one is well known before learning the other."と言っています。


(2)Format and presentation
 typical lessonの形式を決める。「本ブログ内第一章の記事」でも紹介した図1.3なんかは活動の組み立てに参考になるかも。また、授業の最初に行う活動を決めておくと、設計が楽になる。


(3)Monitoring and assessment
 テストをどう行うかを決めておく。しかし生徒がテストのためだけの勉強をしてしまわないよう、テスト対策自体が有益な学習活動になっているかを常に確認しなければならない。speed readingや10 minute writingのグラフを活用するなどして、多角的な評価を行うべし。


◯Evaluation
最初に挙げられている図の中では、Evaluationの円が他の全てを囲っていた。これは、「このコースはいいコースか?」ということをevaluateするもので、具体的に各部分に関して以下のような問いを投げかける。

Part of the curriculum design process Questions
Goals 正しい目標設定ができているか
Environment analysis マテリアルが多すぎないか。生徒のモチベーションは高まっているか
Needs analysis 全ての生徒のニーズに合っているか。生徒が翌年やることに対する準備になっているか
Principles 4つのstrandsが等しく含まれているか。関連項目間のつながりを無視していないか
Content and sequencing 生徒の語彙は十分なペースで増えているか。最も必要なコロケーションはカバーされているか。生徒は十分読んでいるか
Format and presentation 学習活動は最適なものか。時間は効率的に使われているか。宿題は適切な量出ているか
Monitoring and assessment 誰か落ちこぼれていないか。ライティングに対して十分フィードバックを受けているか。言語の知識が増えているか
Evaluation コースの一番大事な部分を評価しているか。生徒からのコース評価を十分受けているか。毎年コースを改善しようとしているか


◯Content-Based Instruction
他教科のことを学びながら外国語の知識も増えていく、というこの形式がideal conditionだと筆者は言います。その理由は以下のとおり。

  1. ある教科で用いられる語彙は限られているので、一度それらが入ってしまえば語彙に関する負担は少なくなる
  2. その教科に関する知識があれば、内容に関しては注意を割かなくてよくなり、言語項目により多くの注意を割ける。背景知識があることで、単語のguessingもやりやすくなるだろう
  3. 意味ある問題解決型の授業やディスカッションなどができるだろう
  4. 似たようなcontentsが度々出てくるため、同じ単語に違った文脈で度々遭遇する

しかしながら、以下のような欠点もある。

  1. content-focusedとは言え、文法事項などのlanguage-focusedの活動も必要なので、そこにも十分な時間を割かねばならない
  2. content-based graded materialは少ないため、extensive readingはやりづらい。難解な文章は、教師がAntWordProfilerなどのソフトを使って易しい語に直す必要がある。
  3. English for special purposesに似ており、つまりその分野では使えても、他の分野ではあまり使われない語彙が含まれている場合がある。

four strandsの考え方に基づけば、3/4の時間はmeaning-focusedな活動に当てるべきであり、content-based instructionはそれを容易にする、と。
また、2点目に関しては、本書もこのようにして書かれており、4,000語の語彙があれば読めるようになっているんだって。へーっ!


◯Choosing a Course Book
 コースが置かれている環境やその目標、生徒のニーズなど、今までみてきた諸々のことに適合した教科書を選ぶ必要がある。絶対必要な要素と、あれば嬉しいな程度の要素に分けて考える。その重み付けをした上で、各種の教科書をみていく。


長かったけど、本章は以上になります!今週はLET(外国語メディア学会)@文京やら全国英語教育学会@札幌やらにお邪魔するので、ちゃんとレポート着手〜完成しておかなくちゃなあ。

"What Should Every EFL Teacher Know?" (Paul Nation) Chap.14 How Do You Plan a Language Course?(前編)

今回の章は長いので2回に分けます。本書の中で一番のページ数が割かれています。


◯Some Basic Ideas About Teaching and Learning
実際のカリキュラムづくりの前に、その背景となるいくつか重要な概念を紹介。

  1. 文法項目が学ばれるためには、期間をおいてくり返しその項目に出会うことが必要
  2. 言語仕様に必要な知識は暗示的知識(subconsciousをこう訳していいのかは謎…)だが、それはmeaning-focusedな活動(input, output, fluency development)で身につく
  3. Most Language learning occurs without teaching. なので、教え続けるだけでなく、language-focused learningの際にも個人学習を取り入れるなどが必要
  4. meaning-focuse input, meaning-focused output, language-focused learning, fluency developmentの4つの活動をバランスよく取り入れることが大切


特にmeaning-focusedな活動は大切で、自分の好きな本を読むとか、L2で議論するとか、L2で手紙を書くとかいった活動がそれに該当する。
いわゆる穴埋め形式のテストや、周囲の手を借りての精読、ダイアログの暗記に、辞書を引きながらでないと読めない文章を読むなどは、meaning-focusedの活動にはあたらないことに留意すべきである。meanign-focusedな活動と、language-focusedな活動を分けて考えられるようになろう、とのこと。



◯The First Steps in Planning a Course
カリキュラムデザインの過程が、8つのパートに分かれた図で示されている。
中心に1.Goalsがあり、それを取り巻く小さな同心円上に2.Content and Sequencing, 3.Format and Presentation, 4.Monitoring and Assessingがある。
2と3の間からは、5.Principles、3と4の間からは6.Environment、4と2の間からは7.Needsが伸びており、それら全てを取り囲む円が8.Evaluationである。


まず考えるべきは、1.Goals, 6.Environment, 7.Needs, 5.Principlesである。2~4,8はシラバスデザインに直接的に関わることであり、後編に譲る。
(1)The goals of the course
コースの最後に、学生が何を知っていて何をできるようになっていればよいか、ということ。以下に例を挙げる。

  • elementary listening, speaking, reading, and writingが英語でできるようになっている
  • 大学一年次レベルの英語の授業についていける程度の言語知識や勉強の方法を身につけている
  • 英語圏の国に旅行した時に、なんとかなる程度の英語力(English for survival purposes)を身につける
  • 旅行業界で日々の仕事がこなせる程度の英語力を身につける

そこまで厳密な感じがしないけれど、シンプルな文章で記すことで教員が本当にそのコースの目的を理解しているかが測れる、と。


(2)Environment analysis
Environmentには3つの要素がある。教員・生徒・状況、である。以下のような問いを自問自答してみること。

  • コースはどれくらいの期間行われるか
  • 週何時間あって、一回の授業は何分か
  • 学習者は宿題をするか
  • 学習者は毎回の授業に来るか
  • 学習者の動機づけは強いか
  • 学習者の母語は同じか、違うか
  • 誰が授業を教えるか。その人はよく訓練されているか、経験はあるか
  • 教科書はあるか
  • graded readersを揃えた図書館はあるか。学習者はそれをいつでも借りられるか
  • 学習者は教科書を買えるか。買おうとするか
  • 学習者はインターネット環境を持っているか
  • 教員は自由に印刷できるか。コンピュータは使用可能か

いくらでも質問は考えつくだろうが、大体の場合、一番大事な3つの質問にしっかり対応することが大切。
また、このenvironment analysisは、カリキュラム開始前に考えるだけでなく、カリキュラム中に再考して調整していくことも必要である。


(3)Needs analysis
学習者が既に知っていることと、これから知るべきこと、そして両者の差、という3つの観点から考える。テスト(単語・リーディング・能力(proficiency)など)を利用する他、すでに知られている情報も利用する。
カリキュラム開始前にできるのが理想だが、多くの場合それは不可能なので、開始してからでもいいから、学習者の状況を把握した上でカリキュラムを修正する。
また、大人の学習者を相手にする場合、negotiated syllabusが有効。そのステップは以下のとおり。


まず、教員は最初の数週間で有効と思われる様々な活動を試す。それにより、学習者はどんな活動があるのか理解できる。
次に、2週間が過ぎるころ、それまでにやった活動を黒板に列挙する。それぞれの活動にどんな利点があるのか説明するのもよい。
そして、どんな活動(およびコンテンツ)をやりたいか聞く。学習者は、教員を含めた小グループで話し合う。彼らの提案は黒板に追記される。
最後に、次の2週間の活動が決定される。さらに2週間経ったら、また話し合いを行う。


こうしたnegotiated syllabusの考え方は、学習者が自分のニーズをはっきり認識できている時には有効。このnegotiation自体を英語で行えば、それ自体がよいproblem-solving listening and speaking activityとなる。


(4)Principles
先述の図からは分からなかったが、このPrincipleの中の3つの分類として、2.Content and Sequencing, 3.Format and Presentation, 4.Monitoring and Assessingがあるらしい。図は非常に分かりにくい!(かといって写真撮ってあげるのもなんだか面倒w)
例えばこの本で強調されてるのは"Four Strands"というprincipleである。他のprincipleもある。time-on-task principle, interference principle, spaced repetition principle, informed learners principle, motivation principleなどがそれに当たる。これらのprinciplesへのリファレンスとして章末に挙げられていたのは以下の論文でした。
Ellis, R.(2005). Principles of instructed language learning.System, 33, 209-224.
カリキュラムを単純明快にするために、3つか4つのprinciplesを選んで、それらがしっかりカリキュラムに反映されているようにする。


これらのthe first stepsは、カリキュラム開始前に準備されるのがよいが、それが無理なら始まってから行なってカリキュラムに改変を加えていくことが必要である。
ああここまで1時間くらいか…。次回は具体的なシラバスデザインの話。

"What Should Every EFL Teacher Know?" (Paul Nation) Chap.13: How Do You Plan a Lesson?

今日は授業案の作成法っぽい。あまちゃんまでの一時間で書き終えたい所存。


くり返し同じ内容を学習したり、同じ題材を別の手法で学習したりするのが効果的。
筆者は、four strandsをコース通して同じくらいの量行うことを推奨しています。
(それに対する批判意見としては、Nation の “The Four Strands” の問題点 | ひとりごとがあります。勉強になりました…!!)


◯Deciding on the Activities
1週間の授業例が載っています。

Lesson 1: Speed reading(5min), Extensive reading(20min), Speaking & listening(25min)
Lesson 2: Speed reading(5min), Intensive reading(35min), 10 minute writing(10min)
Lesson 3: Speed reading(5min), Extensive reading(20min), Speaking & listening(25min)
Lesson 4: Dictation(15min), 4/3/2(10 min), Writing(25min)
Homework: Word cards(20min), Extensive reading(20min), issue logs(20min), reading-while-listening(30min), writing(30min)
(p.165)

10ミニッツライティングの所要時間が10分ってなってるってことは、活動自体の時間のみで活動間の時間(プリント配ったり指示出ししたり)に関しては考慮してない…??


授業の組み立てのコツとして挙げられていることを列挙すると…

  1. 最初は静かな活動で、生徒を落ち着かせる
  2. 1回の授業の中で、2回か3回、生徒のフォーカスを変える(別種の活動をする)
  3. なるべく同じフォーマットで授業を行う
  4. 教員からの指示出しはなるべく簡潔に分かりやすく
  5. 生徒に各活動の目的をきちんと理解させる

同じフォーマットで行うことで、活動間の時間をなるべく少なくするってことか。それにしても50分丸々活動時間で埋めるのは無理っぽいが。


上述の授業例でも、Speed readingなどの静かな活動から授業が始まり、そのフォーマットはあまり変わらず、合計して大体同じくらいの量のfour strandsが含まれている、と。


◯Spending Time on an Activity
"A common mistake in teaching is to confuse the communication of an item with the learning of the item."とのこと。ただコミュニケーション活動させてもダメだよ、ってことか。そのために教員は、少しずつ活動を変え、生徒の興味を保ちつつ、彼らが活動に集中できるようにしなくちゃ、ってことらしい。
以下、活動の例を挙げる。レベルやら話し言葉―書き言葉やら、guided tasksかshared tasksかやら、色々バリエーションつける手立てはあるよ、とのこと。


(1)Identifying sounds

  1. 黒板に fa と pa を書く。faが発音された時だけ手を挙げるという活動を、最低10回はくり返す。
  2. 素早く手を挙げるよう指示
  3. 個別の生徒を当てて挙手させる
  4. クラスを半分に分けて競争させる
  5. 教員の口元を隠したり、机を叩いたり、後ろの席の生徒に口笛を吹かせたりして、ノイズを混ぜる
  6. 1人生徒を前に出して、教員役をやらせる
  7. 紙に答えを書かせて、テストを行う。faとpaのどちらかをマークしながら、自分でも発音させる


(2)Repeating a sentence from a substitution table

  1. クラスに文章を復唱させる
  2. substitution tableから順番に("in a predictable way")文章を作って復唱させる
  3. 生徒を順番に指名する
  4. substitution tableからランダムに文章を作って復唱させる
  5. 生徒をランダムに指名する
  6. substitution tableの中の2つの場所を取り替える
  7. 速く読む
  8. substitution tableの一部を消す
  9. 生徒に番号を振り、指名された生徒が次の番号を指名するようにして当てていく
  10. substitution tableを参考に、自分で文章を作らせる


(3)Practicing a dialogue

  1. 教員が読むダイアログを聞く
  2. Read and look up(教科書見ながら音読はしちゃダメ、ってやつ)を使って生徒に音読させる
  3. 黒板に書いた文章をもとに音読させる。教員は、だんだんその文章を消していく
  4. 教員と生徒誰か1人がactorsとなって、クラスの前で実演
  5. ペアでactingをさせる
  6. ペア同士で見せ合う
  7. クラスの前で実演させる
  8. cloze形式のテスト


(4)Giving a prepared talk

  1. 1対1で生徒同士が短いスピーチ("talk")を行う
  2. 短いスピーチを小グループに対して行う
  3. スピーチにかけられる時間を減らす
  4. メモを見ないでスピーチをする
  5. 聞き手にタスクを課す(メモを取る・穴埋めをする・言語項目を探す、など)
  6. 話し手に質問することを許可する
  7. 微妙に内容を変える


(5)Intensive reading of a text

  1. 読んだ後、理解度確認の問題に答える
  2. ペアに音読する
  3. 読んだ後、文法事項に関する問題(この代名詞は何?とか)に答える
  4. 読んでメモを取る
  5. 読んで推測が必要な質問に答える
  6. 読んで編集する(記事のタイトルをつける・図式化する、など)
  7. 読んでテストを受ける


(6)Problem-solving speaking and listening

  1. ピラミッド・プロシージャを用いて、個人・ペア・グループで活動する
  2. 解決すべき問題に、何か一つ条件を付け加える
  3. 問題に変化をつけ、時間を減らす
  4. その問題に関してアドバイスする人の役をロールプレイする
  5. クラス全体に対して発表する


(7)Dictation

  1. 昔ながらのよくあるディクテーションをする
  2. 時間を取ってくり返し読みながら、長いフレーズを書き取らせる
  3. 1人のに音読させて、他の生徒に書き取らせる
  4. 黒板にヒントを書いた上で、非常に長いフレーズを書き取らせる
  5. 少しだけ内容を変えて書き取らせる
  6. 間を置かずに文章を読んで、生徒はそれを覚えて後から復元する
  7. ピラミッド・プロシージャでチェックする

ここで重要なのは、上記全ての活動を必ず行うことではなく、くり返し生徒に学習させることで言語項目などの学習を促す、ということだ。あくまで引き出しは手段に過ぎないってことっすね。

2013年度夏学期「ことばの教育と授業」期末レポート

最近ブログ書けてなかったので、苦し紛れ。

 江戸時代の寺子屋から始まる日本人の学校体験は、生活に密着したもの(数千種類もの「往来もの」)から離れ、様々に振れつつも徐々に抽象的な「学力」を養成する場となり、同時に学力による選抜が行われる中で、本来は目的であったはずの「学力」が、高い地位を得るための手段として利用されている点に難しさがある。

 自分は一番最初の授業において、学力を「子どもの知識・技能のうち、テスト等により評価可能になったもの」と定義した。しかしこの定義は、学力の「評価に使用される」という形式的な一側面にのみ着目したものである上、現在の評価の4観点の一部にしか触れていない短絡的なものであった。

 アウトプットに重点を置くため、「思考・判断」に「表現」が付け加えられたというのは非常に興味深かった。というのも、自分が専門としている英語教育においても、いわゆる文法訳読式の教育が批判され、コミュニケーション活動を増やすなど、「表現」に重点を置くよう指導がなされており、それが決して英語科単体における話ではないと分かったからだ。英語教育学者の中にはこの流れを批判する者もいるが、この流れは英語科のみから来ているものではないということを理解した上での発言が必要だろう。

 現場の先生の中には、上から押し付けられる政策は受け流しつつ自身の教育信念に則って実践を行う人も多いように思えるし、正しく政策立案者の意図が伝わっていない場合もある。そうした「現場と政策立案のズレ」をどう埋めていくのかは今後の課題だろう。例えば国語科教育の現場においては、近年「言語活動の充実」を受けて、連続型・非連続型テキストなどの概念が導入され、どこまでを国語科が担うべきなのかの分担がはっきりしておらず混乱しているところもあるという。とするとこの問題は、他教科間連携をどう進めるかといった、学校経営的な側面も含んでいると言えるため、さらに解決は困難に思える。

 海外との比較の視点からは、PISAなど、国際的に共通のテストが用いられることで、学力の平準化が進んでいるように思う。そうした教育分野での「グローバル化」に対しては賛否あるようだが、どちらにせよそれが進んでいくのは間違いないように思われる。一現場の教員として、目の前の生徒を相手にしながらも、他教科や他国、さらには他の時代といった、「大きな話」をどこまで考えられるかも、個人的な課題として考えていくこととする。


1,000字以内という逆にムチャぶりな感じで、単なる感想文にしかなりませんでした。笑

「文学」とは。

ここ数日、授業でも自主ゼミでも勉強会でも「文学」って話が出てきていて、これは一体なんなんだ、と。


まず授業で先生は、「英語を学習する中で文学習わなかった人、いるの?」的なことを仰っていた。
確かに自分は中高の授業で、ポーの「THE BLACK CAT」とか、ディケンズの「Great Expectations」とかを、Graded Readersとして読んだ。
そしてそれは非常に面白かった。"Great Expectations"のラストの、"I saw no shadow of another parting from her."なんて文章は、強烈な印象を与え、今でもわりと覚えている(さすがにうろ覚えでググったけど)。当時は「shadow」に実際の「影」と、彼女から再び別れる「暗い予兆」的なものをかけた物言いだと教わって、すげえ!と思ったものだけど、もっとそれっぽく言えば「シンボリズム」的なものに自分が初めて触れたものだったのかもしれない(覚えてないだけでその前にも触れていたのかもしれないが)。
けれど、それが「文学」としてだったのか、正直よく分からない。文学性、的なものはあんまり教わらなかったんじゃないかなあ。Styleやらなんやら。


以前「星新一を英語で読むのよくないですか?短いし、平易だし、意外なオチがあって読むの楽しいし」と言ったら、「それは文学じゃないよね」と上記の先生に言われた。まあ、「英語力向上のために文学を読みなさい」的な話だったから、「平易」とか言ってる時点で終わってるんだろうけど。笑
これだけ聞くと、「読んでいる対象が文学作品(と呼ばれるもの)か否か」が、「文学しているかどうか」の決め手になるようにも思えたけど、文学を研究している学会では、「英語教科書を文学的に読む」なんて試みもあるらしく、だとしたら文学とは何を読むかではなくどう読むかである、なんて見方もできそう。


そして、仮に「文学作品とされるものを読みさえすれば文学を扱っている、というわけでもない」としたら、なおさら専門的なトレーニングが必要そうだよなあ。
文学が英語教育に必要だ、という人は、英語教育にマストと考えているのだろうか。だとしたら、上記のハードルから、なかなか難しそうだな、とは思う。
マストではないが、今は冷遇されすぎている、という辺りが妥当なのだろうか。つまり、「文学いいと思うんだけど、何?コミュニケーション?そっちしなくちゃいけないの?文学やるのやめとくか…」的な先生が現場にいるとしたらそれは不幸だから、自信を持って文学をやっていこう、的な。


その後参加した勉強会では、国語教育で文学をやっている人がいて、どうやら国語教育では、文学よりも論説文・説明文における論理展開、的なものを重視する人が多いらしい。
以前のブログ(英語教育と英文学 - ◯◯な英語教員に、おれはなる!!!!)にもあるが、「どうして文学を国語教育でやらないのか」という質問をした時も「国文科がそれをやろうとしない」的な事情が感じ取られて、それと符合しているのかな、と。
彼女も文学教育を、単なる「実践研究」(主観的なたった一事例での話だ、的な批判をしばしば受けているもの)から脱却するためにどうすればいいのか、というのを色々考えているようだった。


最後の授業で読んだ"A Course in Language Teaching"の中の「文学の効用」的な部分では、以下のようなものが挙げられていた。

  1. 楽しくてモチベーション高まる
  2. 文学の裏側にある文化についての知識を与えることで、生徒の視野を広げる
  3. 共感したり、批判的に考えたりする力を養う
  4. ことなる人々の状況や争いに気づける
  5. 文学は、他のどの学校科目とも同じように、それ自体価値がある
  6. 言語使用の本質的な部分である、ことなるスタイルなどの使い方を学べる
  7. 語彙増強に役立つ
  8. 読む力を育てる
  9. 読んだ後にディスカッションやライティングにつなげられる

確かに、実証難しそう…。「語彙増強」は確かめられているのかな。読んだ中に出てきた未知語はほっとくと3割くらいしか習得されない、とかも聞いたことあるし。


ちなみに文学の欠点として同書に挙げられていたのは以下のとおり。

  1. 生徒には難しすぎる(簡易版はあくまで簡易版であり、原著に比べたら落ちる)
  2. 長くて読むのに時間がかかる
  3. その文学が拠り所としている文化は、生徒にとって異質すぎて、自分と関連付けて考えられないかも
  4. 教育に用いたがために、文学の面白さをspoilしてしまうかも
  5. 自分とは関係ない、と思う生徒も多い

うーむ。ただ、このpros/consが、外国語でなく日本語に置き換わった時にどうなるのか、っていうのは考えてみるべきかもしれない。


しばらくこの辺の話は考えていこう。(曖昧

"What Should Every EFL Teacher Know?" (Paul Nation) Chap.12: How Do You Test Your Learners?

今週水曜から集中講義「項目応答理論による大規模言語試験の開発・運用・改定」というテスト関連の授業を受けるので!と言いつつ、今回の章とはあんまり関係なさそうw



 よいテストは、reliable, valid, and practical、とのこと。第一章で「教員の仕事は、plan, train, test, and teach」と言っていたように、大きな部分を占めるものである。教員に対して生徒の進捗に関するフィードバックを与え、生徒を動機づけ、さらに生徒に自身の学習に対するフィードバックを与える。ふむふむ。
テストは、achievement test(生徒が授業で学んだことをどれだけ習得したか試す。教員が作ることが多い)とproficiency test(多くは外部機関によって作られる、個別の教育に依らない、達成度を測るテスト)にしばしば分けられるが、本章では前者に重点を置く。
※多分だけど一番上に書いた授業で扱うのは後者だから、本章とはますます関係なさそうね。



◯How Do You Make Sure That Your Test Will Be a Good Test?
まずは、reliability。
同じ人に同じ問題をやらせたら大体同じ点数が返ってくるよ、ってテスト。誰が問題を出すか・誰が丸付けするか・その他周りの環境などに依ってはならない。そうしたテストを作るための心構えとして、以下のようなものがある。

  1. There should be plenty of items in the test.
  2. The type of questions in the test should be familiar to the learners.
  3. The instructions for the test should be the same for all learners and should be clear and simple.
  4. The teacher should have a set way of marking the test.
  5. The test should be given under the same conditions each time it is given.
  6. The learners need to take the test seriously.

それぞれに関して補足をすると、
1点目。最低30項目は評価するポイントが必要。それらは生徒が学習したことをしっかり代表していなくてはならない。
2点目。選択式の問題なら生徒にとってもわかりやすいだろうが、正しいものに◯をつけるか、間違っているものに☓をするのか、いくつ正解があるのか、などわかりやすさが必要。
3点目。他の先生と見せ合うとグッド!
4点目。記述問題なら、answer keyと呼べるようなものを用意しておき、別の人が採点しても同じような点数になることが望まれる。また、選択式であっても、例えば1つだけ◯するところに2つまるがついていたらどうするか、など事前にルール設定が必要。
5点目。暗すぎたり、うるさすぎたりしない場所で、同じ時間与えて解かせる。これ面白いな。日本ではあんまり問題にならなそう。
6点目。それはそうだ。


 続きまして、validity。これはreliabilityの一部と考えられる。妥当でなければ信頼できない。統計の授業では「妥当性と信頼性」のことを、「ズレとブレ」という言葉で表していた。的の中心から「ズレ」ていたら「妥当」ではない。中心に集まっていても、あまりにも「ブレ」ていたら「信頼」できない。
妥当性を考える時には「今自分が測りたいものは何か」「それはこのテストで測れそうか」を考えることが常に必要。ただ、妥当性を考える上で、生徒が真面目にテストを受けているか、という点も重要になってくる。ニュージーランドでは、先生が横について、頑張れ頑張れ言いながら生徒に試験を真面目に受けさせることがあるみたいで、やっぱり日本とはだいぶ違いそうだなあと。や、日本の中でもそういう場所はあるのか?うーん。


 最後に、practicality。これは上記の2つほど大事ではない。例えば作るのにめちゃくちゃお金がかかったり、解かせるのにめちゃくちゃ時間がかかったら、現実的ではないよね。そこで以下の点に留意すること。

  1. コンピュータープログラムの活用を検討する。例えばAWLのリスト(http://www.victoria.ac.nz/lals/resources/academicwordlist/)なんかはcloze test(穴埋め式的なやつみたい)を作るのに便利。http://www.lextutor.ca でも似たようなことがされているそうです。
  2. 印刷しなくて済むPC上でのテストを検討する。そうすれば採点もPCが肩代わりしてくれる部分が多くなる。
  3. 採点しやすいようなレイアウトで解答用紙を組む。
  4. 単語テストなど、多くの可能な選択肢の中から設問に使う数個の選択肢を選ぶ際には、ランダムに取る。

1点目および2点目は、あまり言われない気がする。3点目はきっと慣れるに従ってそういうレイアウトにする先生が多そう。



◯Testing Listening
(1)Listening passages with questions
聞いて、多肢選択式や短答式の問題に答える、というもの。何回かくり返して聴かせる。いくつかのパッセージを聞かせて、1問の影響力が大きすぎないよう配慮。多肢選択式は設問3つでおk。
リスニング問題においては、設問は日本語でよい。つまり、そこにリーディング要素が入らないようにする。とは言え、言語の切り替えが毎回設問理解を容易にするわけではない(言語の切り替え自体にリソースが必要、的な意味か)ので、事前に何回か試してみるとよい。4つか5つのパッセージ・ダイアログに、6~7問の問題。短答式ではスペルのミスなども大目に見るとよい。


(2)Dictation
ディクテーションは、リスニングのテストというより、general language proficiencyに近い話だそうです。50-60語の文章を扱う。ちょっとしたスペルミスは大目に見るべきだが、どこまで大目に見るのかは事前に決めておく必要あり。



◯Testing Speaking
一般的に、1人1人みるためかなり時間がかかり、あまりpracticalではない。ペアでやらせると、相手との関係性・相手の英語力等の問題でvalidと言いかねる部分もある(これはむしろreliabilityじゃないか?と思う)。


(1)Interviews
発音・文法・流暢さ・全体的な印象などの項目を1~5につける、最低2人が採点するなど。項目多すぎるとreliabilityの点で問題有り。


(2)Role plays
試験者と生徒の間でロールプレイを行う。専門的なロールを設定(医者役で、患者にもっと運動するよう勧める、とか)することで、specialist areasの会話能力を見ることができる。 採点されない短いinformal talkをした後、最低2つのロールをさせるとよい。


(3)Picture description
まあこれは分かりやすそうだから割愛(今回長いから予想外に時間かかってる)。


(4)Other methods of testing speaking
実際に話させなくても、conversational cloze testなんてものも。こういう場面で何を言いますか?的な。こればかりだと、生徒はスピーキングの試験も全部書いて準備し始めるのでよくないが、わりといい方法ではある。
ペアで間違い探しをさせるというテストも。



◯Testing Reading
(1)Passages with questions
会話体ではない文章を読ませ、いくつかの設問に答えさせる。大意把握・精読・推測(行間を読む、的な)などのバリエーションをつける。3つの選択肢から選べせるのがよいが、True/Falseでも、短答式でもよい。


(2)Cloze tests
5文字ごとに穴が空いていて、それを埋めるような形式。埋めるための語のリストは渡されず、文脈から把握。採点方式としては、元の文章とまったく同じものしか認めないものと、可能なものは全て丸にするものがある。答案を生徒に返却するなら後者がよい。



◯Testing Writing
reliabilityの観点からは、複数の書きものを、複数回に分けて書かせ、複数人で採点するのがよい。


(1)Holistic marking
読んで全体的な点数をつける。時間がなければこちらがよい。


(2)Analytic marking
チェックリスト(スペル・句読点・体裁、語彙、文法、内容・構成、全体の印象)にしたがって、詳細に点数付けをする。生徒にフィードバックするならこちらがよい。


(3)Portfolio marking
コース全体を通して、どのように書く文章が変わったか、的な。



◯Testing Vocabulary
以前紹介したようなボキャブラリーテストを活用。それぞれの生徒が別々の単語を学習している時は、以下の方法が効果的。
まず、生徒自身が単語のリストを作る。そこには単語だけを書き連ねる。
その単語の横に、教員がコードを振る。コードの意味は次の通り。
M:その単語の意味
S:その単語を含む文
C:その単語を含むコロケーション
P:その単語をパートに区切ってそれぞれのパートの意味を説明する



◯Testing Grammar
ライティングやスピーキングでも生徒の文法力はわかるが、より絞って見たい場合は、言い換え・穴埋め・2文を1文に、などの方法で確認できる。



◯Testing Overall Proficiency
1つのテストだけを使うのはうまくない。穴埋め効果的。見たこと無い文章の第2文から穴を開けて単語の前半しか分からないようにする。(is→i_, animal→ani___, the→t__, point→po___など)その上で、単語を復元させる。これがc-testというらしい。最初の数文字と、全体の文字数のヒントも得られるので少しやりやすいのね。
語彙テストも、Generalな英語力を測るのによい。自由記述作文・1対1のインタビューもよい。



◯Regular Record Keeping
毎学期1回か2回は到達度を測ろう。テストの点数のみならず、speed readingや10 minute writing、読んだ本、書いたものなども含めるべし。学習に遅れが出ている時にもわかるし、さらにテストで異常に低い点数を取った時の救済措置にもなる。



◯付録
Read, J.(1983). What is a good classroom test? Guidelines, 5,1-7.
Reves, T.(1982). The group-oral examination: a field experiment. World Language English 1(4), 259-262.
(どちらもタイトルのみでリンクなしです。)
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