さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

"What Should Every EFL Teacher Know?" (Paul Nation) Chap.15: How Do You Deal with Teaching Problems?

プラクティカルなタイトルですね!教室で起こる様々な問題にどう対応するか。生徒間の英語力も大きく違っていたり、英語話して欲しい時に日本語話してしまう生徒がいたり、宿題やってこなかったりなどなど、様々な問題に対する解決法を提示している章です。



まずその「問題」が「利点」として取れる場面がないか考える。クラスの人数が多いからこそできる活動もあるだろうとか、日本語で話せば確かにコミュニケーションは円滑に進むだろう、とか。なるほどねー。


◯Dealing with Large Classes
何人が"large"かには国によって相違があるが、グループワークは大人数の教室で特に役立つ。自分のレベルに合ったグループで活動ができるからだ。


(1)Individual work
個人学習の時間は、各自が自分のレベルに合った学習ができるという点でクラスの人数が多い場合に適している。半分以上の時間を使っても良い。


(2)Group work
以下の4種類のメジャーなグループ活動がある。活動の趣旨と、グループの分け方・人数が合っている必要がある。
a.Co-operationg group work
大体同じくらいの英語力の4~5人の生徒で構成されたグループ。ペアになるか、全員が半円状になって、等しく教材が見られるようにしておく。ペアで読んだり、話したり、グループで作文をしたり、などの活動がある。

b.Split information group work
生徒はそれぞれ異なる情報を持っている。グループのメンバーはそれぞれの顔が見えるように向かい合う。

c.Superior-inferior group work
英語力に差がある人たちでグループを組ませる。英語力の高い人が先生役になって、他の人が知るべき情報を読み上げてディクテーションするなど。

d.Individual group work
個々人にperformする場が与えられているような活動。

(3)Whole class activities
教員が先導するような活動。speed reading, 10 minute writing, oral work with substitution tables, intensive reading, dictationなどが挙げられている。


◯Dealing with Classes with a Wide Range of Proficiency Levels
生徒のレベルが異なるクラスの場合、個人でできる活動・ペアでできる活動・クラス全体でできる活動を分けて考えるとよい。

個人学習向き ペア・グループ活動向き クラス全体活動向き
Extensive reading, Read and listen, Writing with feedback, 10 minute writing, Speed writing, Prepared talks, Substitution tables, Information transfer, Issue logs, Word cards, Unexploded dictation, Oral book reports, Delayed copying 4/3/2, Problem-solving speaking, Pair conversation, Paired reading, Linked skills, Running dictation, Speaking by numbers, Strip story, Split information, Kim's game, Surveys, Dictogloss, Say it!, Headlines, Marketplace, Group brainstorming Oral reproduction, Blackboard reproduction, Blackboard composition, Listening to stories, Same or different(pronunciation), Identifying(pronunciation), Intensive reading, What does what?, What is it?, Follow the map

適切なマテリアルを用意するのが肝要。


◯Dealing with L1 Use in the L2 Classroom
確かに母語を使えば簡単になるけど、それじゃあ外国語学習に支障をきたすということで、以下の3点が提案されています。
(1)Setting rules
英語を使うべき時は英語を使う、というルールを徹底するために、英語を使ってできたら褒め、母語を使ってしまったら罰することも必要ならやること。


(2)Explaining the reasons
なぜ母語を使わずにやることが大切かを説明する。活動の目的を理解させる。time-on-taskの原則について話して、教室の外では起こらない活動であることも理解させる。


(3)Involving the learners
外国語で話す際に問題となる点を説明し、生徒にそれらを克服するにはどうすればいいか考えさせる。


以上、生徒の態度面での問題を取り上げたが、実際に母語使用が発生する場合には、活動が難しすぎる・周囲の環境的に英語を使いづらい・全員同じ母語使えるのに英語で話すのを不自然と感じている、などの理由が考えられる。そうした場合の対処法としては、事前に活動をこなすのに必要な言語項目を教える・英語を使わないとできない活動を用意する・英語名をつけるなどして、ロールプレイに徹させる、などがある。ただし、もちろん難しい単語の意味を説明するときなど、母語を使ったほうがいい時もある。


◯Providing Feedback and Encouraging Learning from Feedback
効果的・効率的なフィードバックを与える際には、以下のような注意点がある。

  1. 生徒がフィードバックから学ぶことができるように教示する
  2. クラスメート同士で採点させる
  3. 同種の間違いを犯しているものをグループにして提示し、その中に共通に含まれている間違いを発見させる
  4. 間違いの箇所だけを示して、訂正はしない(自分でさせる)
  5. よくある間違いについてクラス全体に指導する
  6. コンピュータを用いてフィードバックを行う
  7. 特定の間違いを知らせる特定の記号を生徒と共有する
  8. フィードバックとともに、有用なリファレンス(文法書など)も提示する
  9. セルフモニタリングを推奨する


◯Dealing with Learners Who Do Not Do Their Homework
(1)Knowledge-based approaches

  1. 何をどうすればいいか明確にして、難易度も適切なものにする
  2. 宿題の半分を授業内でやらせ、残り半分へのフィードバックを与える
  3. 難しいけどなんとかできる、というレベルのチャレンジングなものにする


(2)Attitude-based approaches

  1. 宿題の重要性を伝える
  2. どういった宿題を出すかを生徒と話し合う
  3. 宿題を面白いものにする
  4. 宿題の「契約書」を作る

(3)Situation-based approaches

  1. 「宿題クラブ」を作る。教師や保護者も交え、最適な宿題についての話し合いを行う
  2. ペアで行う宿題を用意する
  3. 生徒に、お互いに宿題についてリマインダするようにする
  4. 宿題で行なったこともテストに含める
  5. 宿題の成果物を、教師が簡単にチェックできるものとして、生徒の達成感につなげる
  6. 宿題の記録をつける
  7. 宿題チェックリストをつけさせる


◯Dealing with Learners with Low Motivation
最初はやる気があったけど、授業が難しすぎて萎えてきたとか、言葉を学ぶ難しさを知って萎えてきたとかよくある話。
短期間で言語が習得できるはずはないけれど、でも短期間で達成できる目標を設定するのは非常に大切。以下、やる気のない生徒への対処法を列挙。

Guidelines Applications
Make the classes interesting 生徒の興味分野を知る・1回の授業に3つのfocusを取り入れ、バリエーションを設ける・授業をしっかり準備する・目新しい活動を取り入れる
Make the classes relevant なぜその活動が大事かを説明する・その活動を短くふり返る時間を設ける・将来の評価にどうつながるか示す・「忙しいだけの活動」をしないようにする・タスクの中で、自分について書かせたり話させたりする
Ensure the learners are successful 全員が達成できるよう、難易度を個人に合わせて調整・グラフなどで成長具合/達成具合を見せる・手順を定型化・伸びた生徒にご褒美
Involve the learners 全員に役割のある活動を行わせる・シラバスやシラバスの一部を生徒に決めさせる・次第に教師主導から生徒主導に移していく・生徒の声を聞き、彼らの声が反映されていることを見せ、言葉に責任をもたせる
Allow shy learners to contribute in their own way グループで評価させる・クラス全体の前での活動を、全員には強要しない
Do not allow dropping out 寝ている人を許さない・やってほしい活動を確実に実行させる・参加具合を記録する・参加度合いの低い生徒に個別に話を聞く・評価と活動を結びつける・クラス運営を上手にする(次章参照)・頑張らない生徒には低い評価をつけることを知らせる・何をどうやるかを生徒がしっかり知っている状態にする

その後に続く補足は省略。大体上の表見れば分かることかなと。
色々な原因が絡んで起こっている問題がほとんどなので、色々な解決法を試しましょう、とのことでした。
感想としては、授業の組み立て方においてはこういった知識を入れておくことは非常に役立つと思う反面、生徒との関わり的な面ではどこまでこうした知識が役立つのか、正直よくわからないなあと思いました。早く現場に出ろ的なことを言われる時は、やっぱりこういうのを念頭に置いているんだろうな、と。