さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

学芸大学金谷先生最終講義「英語教師養成・研修の課題〜30年の研究・実践をふり返って〜」

3/23(金)16時〜17時半の講演に行って参りました。

まずすごい人の数!大部屋を立ち見にしていました。
もちろん学芸大で直接教えた人も多いのでしょうが、きっとそれ以上に研修等で関わった中高の先生もいるんだろうと思うと、先生の人望に驚嘆。
一緒に行った友だちも自分も、一学期間授業でお世話になったってだけだけど、なんだか面白そうだから行ってみよう、と思ったわけだし。


以下まとめていきますが、自分で取ったノートを元にしているので、不正確な点もあるだろうことをご了承下さい。


テーマは、

  1. 英語教員養成・研修は不十分(ゼロに近い、と口頭では仰っていました…w)
  2. 改善への試み(学内外の現状)
  3. 英語教員養成・研修の理想
1.英語教員養成・研修

教科教育法の授業は、最低1科目(2単位)取れば教員免許が取れてしまう大学が多い。
英語科教育法の内容として必要なのは、

    1. 英語の学びのプロセス(SLA的な話だと思われる)
    2. 中学での教え方(実技)
    3. 高校での教え方(実技)

だと考えるが、これらを15時間でやるのは不可能。
特に大人数になると、全員に模擬授業を最低2回させたいという方針上、非常に困難である。
(教員養成大学ほど教育実習であまり授業をさせてもらえないという皮肉な現状も…)
ここでも金谷先生がSLA推しをしていたので、やはり自分でもSLA的な勉強してみたい欲が強まってくる…w


そして研修に関しては、初任者研修・5年次(あたり)研修・免許更新講習、とあるが、いずれも不十分だという。
(ちなみに金谷先生は免許更新講習で全都道府県全政令指定都市を制覇したそうで…!!笑)
講習では、教科教育法というよりむしろ全般的なお話が主になりがち、だそうです。

2.改善への試み(学内外の現状)

養成:教科教育法が2乃至3科目必要、という大学が増えてきている。学芸大は4科目必須、とのこと!
内容面も、micro-teachingなどプラクティカルなものに変わってきているようです。

研修:JET(1987年から入ってきたALTを指す)の影響大!/SELHi(2002~2009、のべ約150校に一回3年間のプロジェクトを運営させる)の効果も大きい。
やはり外国人の教員が入ってきたことで、英語教員が変わらざるを得ない状況に持っていかれたそうです。


こっからは私見ですが、来年度から始まる「(高校英語の)授業は英語で行うことを基本とする」には一部で非常に反発がありますが、
同種の反発は、JETの導入前後にもなかったのだろうか。
あったとしたら、この現在の反発も、英語教員が変化せざるを得ない状況に追い込んでいるという点で、
将来ふり返ってみたら、案外「賛否あったけど日本の英語教育の転換点にはなったよね」的な評価になる…??
…ちょっと調べたところ、例えば山田雄一郎『英語教育はなぜ間違うのか』のp.172から、JETプログラムへの批判が展開されている。

  • 資格も教授経験もない学卒の若者が、ただ英語母語話者であるというだけで英語を教えられるはずはない
  • プログラムの目的がはっきりしていない

あたりが主な批判点のようだ。ただ導入当時の反発に関しては記述がないので、この辺はもうちょいちゃんと調べたいところ。


金谷先生自身は、英語教育に関して「どう始めるか」よりも「どう続けていくか」が重要とお考えのようで、
さらに高校教育は文科省の埒外に置かれることが多いため変わりづらい・大学教育は案外変わりつつある、ということから
高校の英語教育を変えるべき、と考えているようでした。
同時に、「1人の先生の力量を上げるだけじゃ埋没する。学校全体を変える必要がある」との主張をされていて、
自分もそういう、柔軟性のある、同僚性の高いところで働きたいなあと。


その後、学内の変化についての話になり、学芸大は充実しているなあとうらやましく思いました笑
KITC(Kanatani's Intensive Training Course)という、1週間泊まり込みの英語合宿が、
「英語集中演習A~D」という単位の出る科目になっただとか、
「英語指導実践演習」という、上の集中演習にTAとして参加する側にも単位が出るようになっているとか。
(その合宿、行ってみたいわあ…!!)

3.英語教員養成の理想像(提案)

プラクティカルなものが絶対必要!←→大学1年時からみっちりやると視野狭窄(学芸大学は空き時間が週に1~2コマ!)、ということから、
「教員養成大学院大学(not教職大学院)」の設立を訴えていました。
学部での(中高)教員養成は止め、中高英語教員志望者は大学院で集中的に養成。
試験を通れば、学部での専攻は問わないとし、2年間の職業訓練を課す。


また、「拠点校方式」も主張されており、一極集中で意欲のある教員を養成し、
それをバラバラにはせずに数人単位で学校に派遣、様々なサポート体制を敷く。
(テスト結果等の統計処理を、地元の大学の心理学系研究室に依頼すれば、教員側は負担減、大学側は現場に入った研究の流れが抑えられる、ということで
わりとWin-Winなのでは、とのこと。確かに!)


最後に「私的努力計画」として、フランクな授業研究会(CTM: ちょっと試して見る会)、隔月のミニ講演(BMT: Bimonthly Talk)など、精力的に行なっていくそうです。


最後の最後に先生の言葉を紹介(多分ちゃんと写せてるはず…!!)。

英語は単なる道具である。
しかし、道具によって人生が左右されることが多い。
道具の獲得を手伝う英語教育は地味なものである。地味に耐えることが大切。
しかし、ときどき報われることもある。

個人的な実感にすごく近かったので、これからも地味に勉強してこ!と思ったし、
今後金谷先生の「私的努力計画」に積極的に参加しようと思いました!


もうすぐ新学期かー!楽しみだけどもっ!