著者の書いた、『3000万語の格差』を、同僚に育休入る際にプレゼントしてもらって、育休明けに同じ著者の本を読むというのも感慨深いね。
具体的な「レシピ」が50紹介されつつ、未就学児の子育てに大事なことを、具体例豊富に並べている。
そう考えると、『3000万語〜』はアメリカの事例だったけれど、その日本版を著者が示してくれている感じだね。
- 会話のポイント
- 一方的よりも応答的に
- 子ども自身が動いて感じる体験が伴う言葉
- 発達の先取りよりその時期に必要なことをじっくりと
- 親の肯定的であたたかな言葉を増やす
どれもそのとおりだね。ここでいう「体験」とは、別にお金を出して特別な体験をしようというものではなく、近くの公園や、自然の場。そこで子どもが関心を向けるものに親も関心を向けて、それについて話す、ということ。
「おわりに」で、買い物途中で座り込む2歳の我が子と一緒に座り込んだら、小さな黄色い花が咲いていて、涙が出た、という著者の体験が紹介されているけど、そういうことだよな。(何
「子どもとよい関わりをしようと思ったら、子どもをどうこうしようとするよりも、大人が少しでもましな人間になるしかありません。(p.200)」とあるけど、ここが一番自分の実感にしっくり来ている。
自分が教員という職業をわりと気に入っている*1のは、曲がりなりにも「よい人間」に近づいていける気がするから、というのはあるね。子育てもきっと同じく。
「発達のステージ別 親子の会話」の最初に紹介されている各ステージを引用すると…
- 第一ステージ(0〜7ヶ月頃:大人からの働きかけに応える時期)→信頼と注意力が育つ、腰を中心とした動き
- 第二ステージ(8ヶ月頃〜1歳前半頃:環境を探索し始める時期)→探索が遊び、マネが盛ん、体幹が育つ
- 第三ステージ(1歳後半〜3歳前半頃:自我が芽生え自分の遊びが生まれる時期)→想像力が生まれる、語彙と運動が拡大する
- 第四ステージ(3歳後半〜5歳頃:対象に合わせて調整ができるようになる時期)→友達と遊ぶ、知識欲、心と体の調整が可能に
- 第五ステージ(6歳頃:協同的な学びへ向かう時期)→仲間と粘り強く取り組む
えーちゃん(我が子)の具体的などんな姿がみられるか、楽しみにしていこうね。
また、レシピの後に紹介されていた「第4章:親子の豊かな会話のために」も面白かった。『子どもへのまなざし』に書かれていたこととどこかリンクする部分もある気がして、自分の子育て観はこのあたりなんだろうな、と思うなどした。
- 親子の会話は環境に影響を受ける
- 子育ては学習性の行動
- "社会的強者"中心のまちでは子どもは育ちにくく親は口うるさくなる
- 子どもが育ち、子どもを育てやすい地域へ
- 長時間労働と長時間の家事・育児
- 情報に振り回されないために外で子育てをする
- わが子だけが幸せになることはありえない
どれもそうだなーと思う。特に「"社会的強者"中心のまちでは子どもは育ちにくく親は口うるさくなる」は、長野に来て感じることで、都会はやはり大人の論理:効率性でつくられている気がして、子どもがゆったり育つ余白が少ない。
その「環境」で育つ子は、意識的にも無意識的にも「効率的であることがよいことだ、非効率はむだだ」と刷り込まれるんじゃないか。というか、自分も刷り込まれているんじゃないか。(これは現在進行形である程度アンラーン中…)
椎名林檎さんも「無駄がなけりゃ意味がない」とキラーチューンに歌っているように、「貴方は私の一生もの」であり、「私は貴方の一生もの」なのだから、「探し出してくれて有り難う」の精神で進んでいこうね*2。