さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

教育の歴史(コテンラジオ)⑦中国の教育 〜なぜ彼らは儒教OSを選んだのか?〜(後編)

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最近このポッドキャストをよく聞いている。歴史は詳しくないけど,深く学んだ人たちの話を聞くことで「面白いな~」と興味がわく。
そして,最近「教育」をテーマにシリーズが始まった。
最近終わっちゃったのだけど,めっちゃ面白かったので,メモしていきたいと思います。

#203 中国の教育 〜なぜ彼らは儒教OSを選んだのか?〜(後編) | 歴史を面白く学ぶコテンラジオ

  • 始皇帝の死後、秦はすぐ滅びる。
  • その後、漢王朝劉邦。秦が法家思想がちがちで反乱が起きていたので、この劉邦が「人を殺すものは死刑、人を傷つけ、および盗むものはそれぞれ処罰」とめっちゃ簡略化した。それまで民衆は「これやると罰せられるのかな…」とストレスフルだったのだが、それがなくなった。
  • 漢王朝をどう統治するか考える上で、儒教の「礼」という序列関係を重んじる思想は使えそう、となり、儒学者董仲舒が現れる。彼の儒教思想荀子的なもの、つまり法家と儒教が一本化されたもの、という説が濃厚。
  • 儒教はビジョナリーだが、中のシステムは弱い。そこを法家思想でかためている。
  • もうひとりのキーマンが文翁(ぶんとう)。彼が地方の官僚教育のプロトタイプをつくった。
    • 漢の時代に蜀という辺境の地でつくったというのもポイント。漢帝国なんか知らないよ、というような場所をどう統治していくかというところにニーズがあった。
  • まず蜀の地元の見どころある若者を選んで儒教を教え、中央の朝廷に派遣して仕事をさせる。そこで修行した後にまた蜀に帰ってきてもらう、という循環。
    • 儒教という共通の思想が、地方と中央と離れていても、「国を治めるトップはこういう人がいいよね」というところに共通理解を生んだ。
    • また、儒教は葬式などの昔の宗教儀式の流れを汲んでいる。単に国家システムの話ではないので、生活に密着した形で民衆の教化にも使える。
    • 古来から続いている思想、というブランド力もある。
  • 文翁は、蜀で官僚育成学校をつくった。ここで頑張ると、中央に派遣されて…というキャリアアップの道筋が明確で、人が集まるようになった。
  • 儒教というソフトウェアを作ったのが孔子儒教のソフトを国家というハードウェア上で動けるように改造したのが荀子。ハードウェアに儒教ソフトインストールしたのが董仲舒。最後に儒教ソフトの配信するプラットフォームの最初期のモデルを作ったのが文翁。この四人の人によって中国の儒教ベースの教育システムが立ち上がった。」これすごいなあ…!!
  • その後、唐王朝。国がやる教育として、王族向け・貴族向け・庶民のエリート向けの学校があった。内容的にも、法律、書道、算術、道教、踊りに音楽、医学などなど、専門分化した学校が多様にあった。
    • 基本的には後の時代もこの教育の仕組みをベースにしているようだ。日本も遣唐使を送ってこの時代の唐にたくさん学んでいたよね。
  • 書院(私人の図書館)も、中国の教育の特徴の一つ。教育リソース、人材育成のセーフティネットとして機能(宋王朝は国主体の教育にお金を割けなかったが、お金を出すから書院の方で教育をさせて人材を王朝に送ってもらっていた)。
  • 科挙も当然中国の教育の大きな特徴。
    • これについては有料版のポッドキャストでしか詳しくは聞けないらしい。笑
    • 科挙はすごいシステム。どんな人にもチャンスがあるように、客観的な試験にしていく。最後には殿試といって、皇帝自らが面接するシステムになっていたそう!
    • こうした公正な制度で、優秀な人材が(派閥などに関係なく)登用されることとなった。
  • 多くの地域を、一つの強力な集権国家としてまとめ、権力が同一のシステムで人材育成をするのが中国の教育の特徴。ヨーロッパにはなかった。
  • また、儒教実学的ではないというところにも言及されている。
    • すなわち、儒教を学んでも、行政事務ができるようにはならない(もちろん別で算術を学ぶなどはするが)。
    • 儒教という強固な「建前」があるため、腐敗政治に陥りづらかった。

国の置かれた地政学的な特徴が、社会のあり方を決め、それが教育のあり方も決める、というのは面白い。現代はグローバル化が進んで、置かれた地域にあまり関わらない教育が可能になりつつある(からこそ、OECDの共通テストなんかで一喜一憂するのかも)が、はたしてこの先にどのような社会が、そしてどのような教育が待っているのか。

あー、改めて、教育思想史とか勉強し直したいな。