英作文の添削をバッタバッタとやってきました。たくさん添削をした受験生の中にも悲喜こもごもで,自分の無力さを(おこがましいながら)感じている今日このごろです。
ということで,自分が添削をする際に使っていたツールを紹介します。
Alfred
なんといってもこれです。macユーザーでこのアプリを使ってない人は,mac人生の半分を損しています*1。
Mac - ランチャーアプリ「Alfred」の基本的な使い方 - PC設定のカルマ辺りで基本的な使い方は見て頂ければと思いますが,ひっっじょーーーに便利。
①アプリの起動
②ファイルの起動
③web検索
が主な用途かと思います。①によってマウスクリックの回数は激減するし,②で言えば,ファイル名の頭に日付(「180312_ブログ.txt」とか)を入れておけば,ある日に作ったファイルが一覧できます。
しかし,やはり英語教員として一番役に立つのは,③のweb検索に間違いありません。
Custom Searchという機能を使います。詳しくはこちら→Alfredの 設定 & Tips メモ - Qiita
これによって,自分で設定したkeywordに続けて検索語を打ち込むと,自分の好きなサイトで手軽に検索できるようになります。僕は特にGoogle Ngramをよく使っていました。僕の設定では,gnと打ってから検索語を入力すると,Google Ngramで検索できるようになっています(このgnがkeywordです)。他にもgiでグーグル画像検索,glでI'm feeling lucky*2,mytwiで自分の過去ツイート,などなど,英語関連でない場面でも活躍しております。本記事では,Google Ngramに絞って詳しめに解説をします。
Google Ngram
「①2つの表現のどちらを使うか」「②ある言葉によくくっつく言葉は何か」「③冠詞の選択」の3点でよく使っていました。以下は僕の直観が正しかった例をましましで挙げていますが,調べてみたらあれ僕間違ってた,なんてことも時々あったことを,一応正直に白状しておきます。
①2つの表現のどちらを使うか
生徒が "... does hart with you"と書いてきたとする。あれ,to youだよね。早速,"does harm to you,does harm with you,does harm on you"でNgram検索をかけてみる。一応on youも入れてみた。
Google Ngram Viewer
やっぱり。toだよね。
他にも,生徒が「学問の世界」の訳としてacademic worldという言葉を使ってきた時。もちろん通じなくはないだろうけど,academiaのが普通じゃない?と思う。
Google Ngram Viewer
ほらやっぱり!時とともにacademiaの頻度が上がって1975年すぎに頻度が入れ替わっているのも,なんでか分からないけど面白いねえ。
②ある言葉によくくっつく言葉は何か
たとえば生徒が "take good sleep" という表現を書いてきた時に,なんかしっくり来ないなーと思う*3。その時に,"*_VERB good sleep"でNgram検索をかけると,こんな感じになります。これは,good sleepの前にくる語を,頻度が高い順に示します。"_VERB"は,動詞,という意味です。
Google Ngram Viewer
すると,takeは出てこないですが,getはよく使われるらしい,と分かる。
なお,この言葉同士のくっつき具合:コロケーションに関して言うと,ozdic.comもオススメです。ozdic.com - the English Collocations Dictionary online
たとえばabilityという語を検索すると,それを強める言葉としてexceptional, extraordinaryなどが出てきたり,その前につく動詞としてはhave, demonstrate, acquire, lose辺りが出てきたり,高い低いを表すにはhigh, low(limited)辺りがあることも出てきます。
ozdic - the English Collocations Dictionary online
③冠詞の選択
これはとっても難しい。使い方としては①とほぼ同じですが,take me long timeという生徒表現について,これはa long timeだよな,と思った時に,こんな感じで"a long time/long time"と調べてみる。これは,long timeが使われるうち,何割がa long timeかを表します。
Google Ngram Viewer
long timeには,9割方,冠詞のaがつくことが分かります。同じようにして,sameの前には大体theがつくこともこれで分かります。
Google Ngram Viewer
その他のwebサービス
Google Ngramがもっともよく使う検索でしたが,その他僕が使っていたものを挙げておきます。keyは適当ですが,さあ,全部Alfredに登録しよう!我ながらこれは便利情報大公開なのでは!?!?
key | サイト名 | URL |
---|---|---|
alc | アルクの英辞郎 | http://eow.alc.co.jp/search?q={query} |
cn | CiNii | http://ci.nii.ac.jp/search?q={query} |
col | ozdic | http://www.ozdic.com/collocation-dictionary/{query} |
dps | Do People Say*4 | https://dopeoplesay.com/q/{query} |
ld | Longman Dictionary | http://www.ldoceonline.com/dictionary/{query} |
lin | Linguee | http://www.linguee.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E-%E8%8B%B1%E8%AA%9E/search?source=auto&query={query} |
mw | Merriam-Webster | http://www.learnersdictionary.com/definition/{query} |
skell | SkELL | https://skell.sketchengine.co.uk/run.cgi/concordance?lpos=&query={query} |
ud | Urban Dictionary | http://www.urbandictionary.com/define.php?term={query} |
wc | weblio共起表現 | http://ejje.weblio.jp/concordance/total/{query} |
ws | weblio synonym dictionary | http://ejje.weblio.jp/english-thesaurus/content/{query} |
jtw | Just The Word | http://www.just-the-word.com/main.pl?word={query}&mode=combinations |
jtwa | Just The Word - alternatives | http://www.just-the-word.com/main.pl?word={query}&mode=alternatives |
{query}の部分に検索語が入ります。他のランチャーソフトで使う場合は,{query}を各ソフト指定の語に変えることが必要かもしれません。
表の一番下,Just The Wordというサービスは最近知ったのですが,非常に便利っぽいです。
たとえば "improve power"という表現をみたとして,なんか不自然だなと思ったとする。その場合,Just The Wordで "improve power"を検索し,alternatives from thesaurusをみてみる。
すると,improveを残すなら,powerよりもefficiencyやqualityがよいこと,powerを残すなら,enhanceやincreaseがよいことが分かる。くっそ便利だな!
また有料なので表には挙げませんでしたが,研究社オンライン辞書も便利です。 https://kod.kenkyusha.co.jp/service/ 勤務校では学校契約してるのでありがたく使わせていただいています。
ある英語の先生と話していて,その人は「最後はネイティヴが言うかどうかだよね」と言っていた。自分はそれに違和感を感じていて,こうしたツールを使ってネイティヴの総和/大集合みたいなものを仲間につけることができれば,個人のネイティヴには勝ることもあるのではないか。Google Ngramを同僚のネイティヴ教員に教えたら,彼はそれを元にして判断基準をつくったりしていた。ふふふ。
先に注にも書いたけど,英語の先生として,正しい表現,おかしな表現に対する感覚を磨く努力はし続けなくてはいけない。同時に,「今の英語」は本の中にだけあるわけではないだろうから,こうしたwebサービスなども並行して使っていくのが英語力涵養には肝要なのではないかなと思う次第です。
他にも色々便利なサービスを知っている方,ぜひコメント欄等でご教示ください!