さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

教育学研究科院試に関して

院試に合格したのでこのブログを始めた、ということで、記憶の新しい内に、院試に関して書いておこうと思います。
受かったのは、都内某大学院教育学研究科です。

お断り

正直な話、内部進学と学外からの受験ではだいぶ事情が異なる、という話も聞きます。
僕は、内部進学なので、この記事は学外の人が参考にするのに最適ではないと思います。
つまり、本記事の趣旨は「みんな!こうすれば院試受かるよ!」的ドヤ顔合格体験記ではない、ということをご理解下さい。
あくまで「日記(=一個人の個人的体験談)」として放埒に書いていこうと思います。

入試システム/今年の感想

研究計画書

7月上旬の出願時に提出。
ちなみに僕は6月末まで教育実習だったので、7月頭は非常にテンパっておりました。
「現在の研究」と「院でやりたい研究」について書きました。
「現在の研究」では、卒論のテーマにしている、雑誌『英語教育』の分析、に関して中途半端に書きました。
「院でやりたい研究」では、「『コミュニケーション能力』の理論的・現場的研究」と大上段に構え、
「コミュニケーション能力」って理論的にどう変遷してるの?そんでどれがよさげなの?現場の先生方はどう受容してるの?どんな受容がよさげなの?辺りを解明しよう!と書きました。
今になって考えると、こんなんできんのかよ…と思ってます。はてさて。

英語科目(一次試験)

9/11(初日)は英語科目。3問から2問選んで、100分。
"measles"がはしかと分からなくてごまかした(情けない…orz)の以外は、
"volatile"も分からなかったけど前後から「激しく動く」とそれっぽく訳せたので、
まあ問題なかったと思います。

専門科目(一次試験)

二日目は専門科目。
I.専攻共通問題、II.コース共通問題、III.選択問題の3問で3時間。
I.は、校種間連携の課題についてだったので、最近ホットな小学校英語から、
小中連携に絞って、教育内容的な観点から書きました。
II.は、「偏見」について。正直「偏見」が何かいまいちピンと来なかったので、
子どもが暗黙の内に獲得してしまう「プリコンセプション」的に捉え、
第二言語習得論(SLA)と絡めつつ書きました。
III.は、言語教育における母語使用について功罪含めて書け、との問題を選び、
英語教育に絞った上で母語使用の歴史を概観し、最近流行りのコミュニカティブ・アプローチを取り上げた上で、
SLAの知見生かしつつ少しずつ授業改善していこうよ!という無難なところで締めました。
つきたい先生の主張にはあんまり沿ってないなあと思いつつ、開き直って書ききりました。


以上が一次試験です。
どうやら一次試験は足切り的に数名落とすのみで、本命は以下の二次(+研究計画書)のようです。
※もちろん私見です。本当のところはわかりません。

口述試験(二次試験)

三日目朝に一次試験の合否が掲示され、通っていたらそのまま別室に待機し、面接を待ちます。
ちなみに教育内容開発コースは、なぜか13時半開始で、3時間も待ち時間がありました。
また僕は名前順で一番最後だったので、始まってからも3時間ほど待ちました。(どおりで帰宅してぐったりしてたわけだ…笑)
1人ずつお呼ばれして、教授陣と面接10〜20分。
僕は、1分程度研究計画の説明→教授たちからのツッコミ→研究志望はないの?との質問、で10分くらいでした。
ツッコミは、「コミュニケーション能力のよさげな受容をあなたが決めるんですね?」「コミュニケーション能力は実体化可能・それを育成するのがいいものだ、との前提がありそうだがどう思うか」といったものでした。厳しいお…
前者に関しては、元気に「ハイ!」と言うに留めました。
柳瀬陽介先生の 第二言語コミュニケーション力に関する理論的考察―英語教育内容への指針 に依拠しまくるかも!と言ってもよいかと迷いましたが、言いませんでした。
後者に関しては、(゚Д゚)タシカニ!とビビりながらも、
「先行研究にも現れている現場の混乱をふまえると、本能力を実体化して現場に応用可能な形で示すことは必要なことに思える。また、もちろん本能力の是非を批判的に検討する作業は必要であるが、学習指導要領に明示され、かつ現場が混乱してしまっている以上、その望ましい受容を提案する研究にも必要性があると考えられる」的なことをポーカーフェイス(のつもり)で言い切りました。


事前準備

筆記対策

あんまり時間取れてなかったよなぁ…。
今年に入ってから、卒論のことも考えだして少しずつ関連資料を読み始めてはいましたが、
6月は教育実習、7〜8月はH-LABというサマースクール(http://www.hcji-lab.org/)に関わっており、
それが終わる8/26まで何も出来ず。8月最終週も介護実習だったので、
結局本格始動は9月入ってからでした(ォィ
それも最初は効率悪い悪い…
文献読んでフンフン言ってるだけじゃあダメだ!と気付いてからはメモ取りつつ読み進めました。
(フンフン言ってるだけの時期は、きっとSLA的に言うと「沈黙期」に当たるんですね、分かります…)

以下、特に参考になった文献を挙げます。


英語教師のための第二言語習得論入門

英語教師のための第二言語習得論入門

こちらは、SLAの基礎となる考え方を紹介しつつ、各学校段階への提言を行なっている本です。
SLAの基本を学びつつ、論述のネタにも使えるなんてお得!


危機に立つ日本の英語教育

危機に立つ日本の英語教育

こちらは、経済界に振り回される日本の英語教育に危機感を覚えた先生方の論集です。
現状で問題とされていることを把握しつつ、それに対しどういう考え方があるのか学べました。


授業研究と学習過程 (放送大学教材)

授業研究と学習過程 (放送大学教材)

こちらは、夏学期の授業のテキスト。
正直授業にはあまり出ていませんでしたが、院試に使えそうと思って勉強はしておきました。
学習理論の概観、授業を構成する様々な要素に関する知識が身に付きました。


と書いてきましたが、正直本から得た知識は半分くらいで、
残りはTwitterでウォッチさせていただいている方々の紹介する論文やら記事やらに目を通して
自分でMendeleyに論文落としながらニヤニヤ読み進めていました。
(その内の一人である東大博士課程の寺沢さんには、許可を得てブログにリンクを張らせていただきました。やった!)

面接対策

正直あまりできていなかった…。
何しよう、と前日夜悩んでいるところに、一本の電話が。
1,2年時入っていたESSというサークルでお世話になっていた他大の方(言語系の院→私立中高教員)からでした。
激励+面接アドバイスをいただきました。本当にありがとうございました。
自分が研究を通してやりたいことを主張すれば、その研究がつぶされたとしても大丈夫、とか、
自分の研究の限界は謙虚に把握しつつ、それでも主張すべきところははっきり主張しろ、とか、
非常に役立ちました。このおかげで「現場に還元できるような研究がしたい」ということを主張できた気がします。


振り返って

疲れた!笑

SLAに興味が出ました。
でも、英語習得の「常識」「非常識」―第二言語習得研究からの検証 を読んで、SLAがそのまま英語教育に直結はしない、と知って冷水を浴びせられた気になりました。
同時に、つながってないのであれば、そこを少しでもつなげるような研究ができたらいいなーとも。


あと、学習理論の変遷を見ると「行動主義→社会構成主義」と移っているようなのですが、これはどういった理由からなのでしょうか。
二次試験の前にお話した現職教員の方も「私のころはヴィゴツキーじゃなくてピアジェが趨勢だったからねぇ」とおっしゃっていて、
こうした、メインストリームの変移が起こる時、その原因はなんなのだろうと、不思議に思いました。


勉強すること山積みではありますが、少しでも基礎知識を身につけた上で院に進めたらと思います。
何かアドバイス等くださる方がいらっしゃいましたら、コメント等残していただければ幸いです。

それでは!