さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

He is believed to

生徒からの質問を受けたので,日記に書いておく。
文法四択問題で,

1. It is believed that he has made a fortune in his youth.
2. He is believed that he made a fortune in his youth.
3. He is believed to have made a fortune in his youth.
4. He is believed to make a fortune in his youth.

だったかな。正解は脚注に示しておきます*1。その後色々話したことを整理してまとめておく。
まず1.に関しては,It is believed that SV.という形に問題はない。が,thatの中の部分で,in his youthという「過去のある時点を表す表現」とhas madeという「現在完了形」が共起しているので不適,と。
これに関しては,昔稼いだ財産が今でも残ってて裕福な暮らしをしている,とかいう場合,過去の出来事が現在まで影響してそうだから現在完了形でもいいじゃないか,と感じる人もいそうだから,なかなか説明が難儀する気がする。
過去を表す言葉を用いた時点で,それは今となってはもう終わったこと,と感じているとみなす,ってことなんだろう。もちろん,since+過去の一時点なら,起点を表すからそこをスタートに現在まで,とかで現在完了が使えるけど。

2.を一旦飛ばして3.&4.へ。
to doとto have doneの違い。質問してきた生徒に話したのは,[have+-en形]には2通りの使い方があるよって話。選択肢1.で使われているのは,1つ目の使い方で,3.で使われているのは2つ目の使い方。
1つ目は,完了*2。ある時点Xから始まった動作・状態が,それより後の時点Yにおいても,継続していたり,なんらかの影響を残している(ことを話者が強調したい*3)場合使われる。
I have been busy since last week.なら,X: last week,Y: now(この文が言われた時点)。Y: nowなので現在完了形を使う。
She had been working for the company for three years when I joined them. なら,X: when I joined themの3年前,Y: when I joined them。Y:過去なので過去完了形を使う。

2つ目は,時制を1つ後ろにズラすという働き。
現在完了にはこの意味(=現在から時制を1つ後ろにズラして過去を表す)はない。現在から時制を1つ後ろにズラすなら過去形を使えばいいよね。ということで,have+-en形で時制をズラすのは,他のやり方ではうまく行かない時に限られる。
まずは,過去からさらに時制を1つ後ろにズラす場合。過去形にはその後ろにズラした「過去過去形」なんてのはないから,それをhad+-en形で表す。いわゆる大過去ってやつですね。
She said she had finished reading the book.←She says she finished reading the book.の過去版。
その他には,to doとかdoingのような,準動詞の時制をズラす時に使われる。
そもそもto doとかdoingとかが嬉しいのは,主語・時制という,文を書く上で一番厄介な部分をすっ飛ばせる*4ってところです。逆に言えば主語・時制を表すのが苦手*5なんだけど,無理やりズラす時に,to have doneとか,having doneとかを使う。
3.がまさにそれで,he is believedは今ですが,make a fortuneしたのは昔の話なので,ズラす必要があるのでto have madeを使う,と。
4.だと,he is believedとmake a fortuneの時制が同じになるので不適。

先生なのでまとめてみる。(何

[have+-en形の用法]→→→ ①完了 ②時制を1つズラす
現在完了形(have done)
過去完了形(had done)
to have done/having done *6


to doとかdoingとかは,主語・時制すっ飛ばせるの便利ってを念頭に置きながら,2.に戻ってみる。
He is believed that SVという形がいけない。「彼は〜と信じられている」の「〜」に「SV」の内容を入れればいいんじゃないか。だってほら「彼は[彼は若いころ一財産を築いた]と信じられている」って意味通るじゃん!って感じるかもしれませんが,いけません。
考えてみれば,「彼は〜と信じられている」の「〜」の主語は絶対「彼」ですよね。
「彼は変態だと信じられている」なら,「変態だ」の主語は「彼」です。「彼はメアリーが変態だと信じられている」とは言えない*7
つまり,「彼は〜と信じられている」という構文において,「〜」の主語を示す必要はない。だって「元の文の主語(ここでは『彼』)」に決まっているから。上にも書いたけど,こういう「主語を示さなくていい時」ってのはto doやらdoingやらの準動詞の出番です。He is believed to have made a fortune.なら,make a fortuneしたのはHeと自動的に決まる。
これをthat SVで表して,
2. He is believed that he made a fortune in his youth.
がもしもありなら,thatの中身を変更して,
2’. He is believed that she is a 変態.
もありとなってしまう。でもこれは,上で見たように,言えません。やっぱりHe is believedにthatSVはつなげそうにありません。ムダにSを2回示すのは面倒,とも言えるかもしれません。スパッとto doで言えば早いので,言語にはなるべく無駄を省く性質があるから〜とかなんとか*8

彼の質問を受けた時は,have+-en形の2つの意味,みたいなところまでは説明できたけど,その後のto do/doingのおいしいところは,時制も主語もすっ飛ばせるところ,みたいな話とか,that SV入れたらおかしい理由,とかは言えなかった。まあ,10分休み終わってたし,仕方ないかな。笑 ということで,備忘録代わりに書いた次第。ホントは昨晩中にアップしたかったけど,眠かったなあ。。笑

そして,書いてみて思ったけど,やっぱりある程度文法知識ある人にしか通用しない説明だよなーと。この辺を,あんまり文法用語使わずに説明することって,果たしてできるのかしら。
んまーこういう「知識でぶん殴る」系の授業も,いつか必要になるのかなあ。できるとは思うけど,個人的にはまだしっくりこないなーって感じ。笑

さあさあ,今日は授業がないんだ!行くぞ!4時間フットサル with my students!!

*1:正解は3です。正解できてよかったよかった。その生徒が最初に質問した,めちゃくちゃ英語できる生徒も間違えたらしいので,なおさら。笑

*2:んーなんか難しいな。そもそも日本語で言う「完了」だけではなくていろんな意味表してるし。

*3:これわりと大事だと思ってて,だって全ての動作は今の私に影響を与えているわけですよ。だから「なんらかの影響を与えている」だけだったら,全ての文が完了形でもおかしくないことになってしまう。が,当然そんなわけはないわけです。不思議なことに(?),I’ve bought this book.とは言わない。その本がべらぼうに高くて,買ったことで財布が一段と軽くなって,その減った状態は今まで継続しているとしても!

*4:個人的なイメージとしては,「あ,主語とか時制とかはこの文の主語と動詞と同じなんでそっち参照してください^^;」みたいな感じ

*5:主語はfor+人で表したりするよね。It’s difficult for me to answer the question.みたいな

*6:△,くらいかも??

*7:言うなら「彼はメアリーが変態だと信じている」で “He believes that Mary is a 変態.”でしょう。

*8:無駄を省く云々は適当(適切)かもしれませんが,適当(当てずっぽう)ですすみません