さんだーさんだ!(ブログ版)

2015年度より中高英語教員になりました。2020年度開校の幼小中混在校で働いています。

「英語導入期シラバス試案」読んでます

英語導入期シラバス試案 - 詳細表示 - 英語教育あれこれ:「どれ?」「それ!」 - Yahoo!ブログを読んでいます。100日間の英語導入期の授業シラバスを公開しています。す、すごい。ちなみにこのブログは、松井先生がTwitterか何かで言及されていて、それからRSS登録してちら見しているブログ。
ここ数日、特段するべきこともなく、それじゃあ好きな人のブログを眺めつくそうと思い立ち、やってみました。
本当に色々なところに工夫が凝らされていて、ということは今の自分が気づかないような工夫も同じかそれ以上に含まれているんだろうなあ。ワクワク。

たとえばDay 4の宿題(2012年04月21日の記事一覧 - 詳細表示 - Yahoo!ブログ)。

10. 大文字の観察: ハンドアウトNo.6
2つの基準で大文字26文字を分類したもの。その基準を考えさせる課題。
〈基準1〉AMOTUVWXY/ BCDEHIK/ NSZ/ その他
〈基準2〉AHJK/ BCDEGPTVZ/ FLMNSX/ QUW/ IY/ その他

「〈基準1〉のほうは、字をよく見ると答えがわかるが、〈基準2〉のほうは、
字を見ていても答えはわからない」とヒントを出した後、宿題とする。

*正しい基準がわかるかどうかは実はどうでもよい。
この課題を出すことによって、大文字を繰り返し見てその字形を覚えること、
あるいは、文字の名前を何度も声に出すことが目的。

※太字引用者

AさせたいならBと言え (教育新書)』という本があるし、他にも最近読んだブログだと「SHIFT」という考え方(clozeテスト作成しちゃうよ!! - arishima.info)が似たものを指してそうだ。
生徒はこちらの言ったとおりには動かないわけで(動いてくれる時もあるけど)、じゃあそんな彼らを思ったところに動かすためには、別のアプローチを採る必要があるんだろう。そういうのが、自分はまだ絶望的に苦手。「効率的に考えれば黙って聞く方がいいだろ!」「ここで反論するより黙って『はいすいませんでした』ってひと言言えれば授業がどれくらい早く終わるか!」と思ったり、時にはそう口に出したりもしています。本当はそうなる前に手が打てればよかったのにな、と思いつつ…。

閑話休題
色々と工夫が詰まっているこちらのブログ。かなり長いので、一記事にするのは難しい&人のブログを読んだ感想なのに複数記事にするのもなんだかなって感じなので、本当に気づいたところを絞って数点だけ、書いていこうと思います*1。とはいえ、細かい例文の精査(って言うとエラそうだな…汗)まではできてないから、本当に印象的なものだけになっちゃってます。

Day 5

4. "Say the Next Letter": 大文字カード
Tはカードをランダムに示し、Ss(全体)は、示された文字の(アルファベット順で)
次の文字を言う。

たとえば"C"なら"C"をみて、Cと認識して、次を考えて、Dを思い出して、"D"と言うわけだから、書いてあるアルファベットをそのまま言わせるのと比べて、倍のアルファベットを脳裏によぎらせることができる。それでいてきっとかかる時間は倍未満だろう。というかそんな変わらないよな。うまいやり方だなあ。

  • Day 6
    • 黒板に貼った絵を見せながら、"This is Tarao."と教師が言ったところを "That is Tarao."と復唱させている。
      • その場に根付いた英語表現を使わせるの、とてもよいなあと思う。これはDay 3でthisとthatを正しく導入した結果なんだろう。
  • Day 7
    • 「あとこれだけ分かれば言えるのに…」という場面を作ってから単語を導入
      • いいなあ。同時に、最初期は単語数が限られているからこういう工夫ができる(これは現に多くの先生がやっている、という意味ではないだろうけど…)ものの、段々と語数が増えてきたら、この先生はどう導入されているのか気になる。
    • 大文字から小文字への変遷を想像させ、その過程で大文字小文字の対照を多くおこなわせる
      • SHIFTだ!!
  • Day 8
    • ここで気づいたけど、宿題の確認をする間も、生徒に作業をさせているんですね。宿題を思い出させる簡単なワークを用意しとくの、いいかもなあ。
  • Day 39(だいぶとんだw)
    • ここでやっとYes/No疑問文を導入していることや、すでに未来進行形(will be -ing)の導入は済んでいることなども驚きなのだけど、疑問文の作り方の「『いつのことか手がかりになる語』で文を始める。」という説明が秀逸。この説明が齟齬をきたさないように丁寧にam/are/is、was/were、will beを導入してきたからこその成果なんだろう。そしてこれはDay 43の"Did she~?"などにもまったく同じ説明を転用できる。
  • Day 41
    • 「Tは、チョークを手にして腕組みをしてしばらく考え(るフリをし)たあと、『よし!これに決めた!』というように、ゲンコツで手の平を叩いた後で、言う。"I will write my name."」芸が細かいというか、willの感じを出そうという工夫がみえる。なかなかここまで細やかにやれないと思うんだけど、きっとやった方がいいんだと思う。
  • Day 68
    • "model"という語の導入において、「 を発音したらすぐに/l/の準備をして、舌先を上の前歯の内側の歯茎に付けたままで/d/を発音するように指示してみた。/すると、驚いたことに9割方の生徒がほぼ一回で/dl/の側面解放が発音できた!」
    • 驚き!この「次を準備してからその音を発音する」というのは使えそう。側音解放、自分が明確に意識してできるようになったの大学入ってしばらくしてからだったよな…。笑
    • 同時に「思い込みから側面解放は難しいだろうと、あまり積極的に指導して来なかった」というのも、このレベルの先生ですらそうした思い込みから自由になるのは難しいのかと、新鮮な驚き。でもちゃんと気づいて修正していかれるんだろうな。すごい。
    • ちなみにDay 78では/tn/の鼻腔解放に挑戦させている。こちらは正しくできないようだったが、こうした細かい積み重ねをきちんと記録に残されているのもものすごいことだ…。


…ハイ。なんとも浅いところしか見られていない感じがして残念ですが、この先生の「音とつづりとのつながり」に対するこだわりは本当に圧巻。今の非常勤が3月半ばに終わるから、そしたら来年度の授業準備と並行しながら、こういう「音―つづり」の導入に使える資料をたくさん作っておこうかな。
こういうの一緒にやってくれる人がいたら、きっとすごくモチベーションがアガると思うんだけど、誰かいないかな*2。勉強会で機を見て募ってみようかしら。

*1:きっと将来ふり返って、「そこじゃないんだよ、若いなあ」なんて思うことがあるのかもしれないけど、そういうのもわりかし楽しみだったりする。笑

*2:実際自分は音フェチだからこういうのやりたがるわけで、なんというか、こだわって資料作りをしようとすると、極めて興味関心の近い人しか仲間に引き入れられない気がする。多分そうした分野に特段興味のない先生からみて「ここまでする必要あるの?」って驚かれるくらいガンバらないと、なんというか、違いは生み出せない気がしている。ってか、今のところ一番やってくれそうなのが元カノって説もあるんだよな。ゲフンゲフン。