さんだーさんだ!(ブログ版)

旧「◯◯な英語教員に、おれはなる!!!!」 - 大学院を終え、2015年度より中高英語教員になりました。

一次ソースに当たったら迷い始めた話

GW中に、なんとしても授業準備に修論に研究を進めておかないとヤバい、ということに気づき、5日あるお休みの現在2日目です。

授業準備は、ここ最近は助動詞を扱っていて、さあどうやって生徒に書かせる活動をしよう、というところ*1

今考えているのは、「道端で財布を拾って、さあどうしよう」という場面設定で、自分の中の天使と悪魔が出てきて、自分にアドバイスをし始める、というもの。
「警察に届けなくちゃ!」とか「そんな必要はない、ネコババしちゃえよ」とか、わりと自然にobligation系の助動詞*2を含めた文章を書かせられるんじゃないかなと。
で、どうせなら二段階のタスクにして、まず "You must take it to a police box."とか書かせて、「じゃあその文章の後に", because~"でその理由を付け加えてみよう」とかやろうかなと。助動詞とまったく関係ないけど、説得的な文章を書くには、的な指導の初歩として悪くないんじゃないかな、とか。

んで、どうして理由づけして話すのが大事か、みたいなことも触れようと思って、この本を引っ張り出した。

影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか

p. 5にこういう記述がある。

 エレン・ランガーと彼女の協同研究者たちが行った実験は、この自動的な行動が人間にも同じように見られることを実によく描き出しています。人間行動の原理としてよく知られているものの一つに、人に何か頼み事をするときには理由を添えた方が成功しやすくなる、というのがあります。人は単純に、自分がすることに対して理由を欲しがるものなのです。ランガーは図書館のコピー機の前にいる人に、「すみません……五枚だけなんですけど、急いでいるので先にコピーをとらせてくれませんか?」という小さな頼み事をすることによってこのさして驚くべきことでもない事実をまず確かめました。この「要請+理由」の効果は完璧に近いものでした。九四%もの人が先にコピーを取らせてくれたのです。理由を述べずに「すみません……五枚だけなんですけど、先にコピーをとらせてくれませんか」という言い方で頼まれる条件の成功率と比べてみれば明らかです。この状況のもとでは、六〇%の人しか承諾しませんでした。ちょっと見ただけだと、二つの要請の仕方の決定的な違いは、「急いでいるので」という言葉がつけ加えられたことだと考えるかもしれません。しかし、ランガーが試した三番目の要請の仕方の効果を考えると、これが誤りであることがわかります。このやり方は、承諾してもらうための本当の理由を述べるのではなく、「ので」という単語は使うものの、それに言わずもがなの内容をつけ加えるものでした。「すみません……五枚だけなんですけど、コピーをとらなければいけないので、先にコピーをとらせてくれませんか」と言って頼んだのです。その結果、この条件でもほとんどすべての人(九三%)が同意してくれました。承諾することに対する本当の理由がなく、また、新しい情報が全くつけ加えられなかったにもかかわらず、です。

で、まあこの辺念頭に置きつつ「理由を述べると(その内容はどうあれ)より相手の行動を促す」みたいな話はできるかなと思ったものの、どうせなんで元論文を見てみました。

Langer, E., Blank, A., & Chanowitz, B. (1978). The mindlessness of ostensibly thoughtful action: The role of “placebic” information in interpersonal interaction. Journal of Personality and Social Psychology, 36(6), 635–642.

んで読んでみたら、p.637にこんな表が載っていました*3

表1 実験者にコピー機を使わせてくれた被験者の割合

理由 理由 理由
頼み事 情報なし プラシーボ的*4情報 充分な情報
.60 .93 .94
n 15 15 16
.24 .24 .42
n 25 25 24

頼み事の大小って?と思って前を確認すると、情報に関しては3群用意してて(p.637)、
1. Request only. "Excuse me, I have 5 (20) pages. May I use the xerox machine?"
2. Placebic information. "Excuse me, I have 5 (20) pages. May I use the xerox machine, because I have to make copies?"
3. Real information. "Excuse me, I have 5 (20) pages. May I use the xerox machine, because I'm in a rush?"


なんと!元論文では5枚のお願い(小)と20枚のお願い(大)の2通りが用意されていた!
しかもお願い成功率の値を見ると、5枚の場合は
情報なし<プラシーボ的情報≒充分な情報
だけど、20枚の場合は、
情報なし≒プラシーボ的情報<充分な情報
やんか!笑(あとわりとnが小さい気がするんだけどその辺どうなんだろ。)


理由になっていない理由がつけ加えられたお願いの場合、簡単な内容の場合は看過されるかもしれないが、相手により負担を強いるお願いだった場合は普通にはねつけられる、とも言えそうで、なんだ、『影響力の武器』も影響力を行使しようといろんなテクニック使ってるのね、と。笑

元論文をちゃんと読みこむことはしなかったけど、この論文中では3つの実験がされていて、本実験はその最初の1つに過ぎないようです。


さて。
一次ソースに当たるというメディアリテラシーを発揮した結果、安易に「理由つければ人が動かせる」なんてことは言えなくなっちゃったぞ、どうしよう。笑

*1:僕の担当はライティングで、一応既習となっている文法事項の総点検を行います

*2:参考URL→日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク

*3:もちろん元の表はもっときれい

*4:理由になっていない理由

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